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【セミナー誌上企画】第9回<9.事業評価をしよう>

【セミナー誌上企画】第9回<9.事業評価をしよう>
・すでに解説したように、SDGsに取り組んでいると言ってよいのは、ターゲットにどのように貢献しているかを説明できる場合である。析出表や事業創造表で取り組むべきSDGsを導出した段階では可能態に過ぎないが、ターゲットへの貢献を説明するためには、一定程度取り組んだ上で、設定した指標に基づいて事業評価をせねばならない。そもそもCSRは、社会課題や地域課題に取り組む社会性戦略であっても、その経営的意味と社会的意義を評価し、戦略的意味を確認せねばならないのであるから、CSRの一環であるSDGsが事業評価を求められるのは当然である。
・本業における事業評価は、生産量や効率、売上などを指標として用いつつ行われているが、社会性戦略の成果は、金額や割合など、わかりやすい数値に変換することが難しく、評価のための指標を容易に確定できないこともある。そのため、的確な事業評価をしていないケースも少なくない。その点では、SDGsは、少なくとも社会的意義の面に関する指標を提供してくれており、取り組むと得られることも多い。
・さて、別添の表は、学生に使わせている事業評価表である。
・まず、左端は取り組んでいる事業を書く。事業に名称を付けていれば、その名称を書けばよい。その右には、一定期間取組んだ後の成果を記入する。評価のためには、何をもって成果とするか、その成果をどのように表現するか(㎏で表記したり、¥で表記したり)を考え、それに基づいて指標を設定することになる。その指標に基づいた表記をするのである。その際、社会的意義と経営的意味に分けて成果を書く。したがって、指標もそれぞれに設定しておく。
・一方、その右には、当初設定した目標値(事業の途中で見直した場合は見直し後の目標値)を記入する。当然のことながら指標は同じでなければならない。その右には、目標の達成度に基づいた評価を記入する。ここでは5段階での順位評価をするようになっているが、こういった表記をすると、一瞥で成果の程度を把握できる。
・成果が芳しくなければその原因を探り、改善の方向を記す。成果が出ていれば、現状維持の提案やより成果を高めるための改善提案となる。それに対して経営層からの指示を記すのが右端である。それに基づいて次期の計画策定に入れば、事業をPDCAで回してゆくことができるのである。(第9回/10回連載)

           永続的成長企業ネットワーク 理事
横浜市立大学教授   影山摩子弥

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  • 開催日2019年12月25日
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