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【セミナー誌上企画】第8回<8.析出表を運用しよう>

【セミナー誌上企画】第8回<8.析出表を運用しよう>
・前回紹介した事業創造表は、取り組むべきSDGsを考えるためのツールではあるが、簡易版である。取り組みのストーリーや経営的意味を書かせるようにはなっているので、戦略構築には使えるものの、本来は取り組むべきCSRを確定させ、そのCSRがSDGsにつながるのかを整理し、つながっていれば、そのまま、もし、つながっていなくとも大局的観点から経営戦略的意味を損なわないようであれば調整した上で、取り組むことが望ましい。
・なぜなら、企業の社会性戦略はSDGsにとどまるものではないからである。特に中小企業にとって、貴重な経営資源は自社にとっても意味のあることに投入せねば業績が悪化したり倒産したりしかねないし、意味のないことに取り組んだ場合、途中で事業を断念せざるを得なくなる。それはそれで社会の期待を裏切ることになる。
・したがって、はやりだから、SDGsに取組まないといけないらしいからと、取り組むべきCSRの中での優先順位を整理せず、経営戦略上の調整の必要も検討せず、拙速に取り組むべきではない。
・以下は、私が「析出表」と呼んでいる表の項目を張り付けたものである。ただ、これもゼミで使っているものであるため、簡易化してある。経営環境の洞察、ビジョンの策定、経営課題の整理、強みや使える外部環境も含めた経営資源の把握などの事前の作業があるし、取り組みが生み出す価値の大きさを測定する手法を割愛してある。ただ、価値や損失、コストの見積もりはおおざっぱでよい。やってみないとわからないことも少なくないからである。
―表-(別添)
・まず、左端に自社の経営課題に深くかかわるステークホルダーを記載する。そして、そのニーズを書き、ニーズに応える事業を考える。その事業がCSRの取り組みとなる。ただ、それで実施確定ではない。事業化のためには、自社にとって得られるものや回避できる損失の絶対値を加えたものからコストを引く。その数値がプラスになるようなら、事業化の可能性が出る。プラスの大きさや事業の優先順位などを勘案して、右端に○(実施)か△(保留)を記入することになる。
・このようにして確定した取り組みを、先に紹介した整理表でSDGsに紐づければよいのである。(第8回/10回連載)

           永続的成長企業ネットワーク 理事
横浜市立大学教授   影山摩子弥

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Information
  • 開催日2019年12月10日
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