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【誌上テーマ別サロン】第77回 <基礎講座>   イノベーションのプロセス ―「中小企業経営学入門」(77)―  

【誌上テーマ別サロン】第77回
<基礎講座>
イノベーションのプロセス
―「中小企業経営学入門」(77)―

1 現状の分析と問題の発見
・イノベーションとは、これまでの企業経営を変えることであり、環境変化のなかで、製品・サービスの開発をはじめ、企業経営にかかわることを変更し、それを通じて企業として存続し、できれば成長するために行われるが、これにはプロセスがある。まず、企業経営についての現状分析を行い、問題を発見することが求められる。この場合、企業経営全体とある特定分野の主にふたつの現状分析がある。自分で行うのが望ましいが、多忙でむずかしいのであれば、信頼できるコンサルタントを活用することもひとつの方法である。
・この現状分析で重要なのは、自社にとってのどのようなことが問題になっているかをしっかり整理し、優先順位をつけることである。この問題の発見こそが第1のステップになる。人的資源(ヒューマン・リソース)が不足しているのか、営業や販売力がネックになっているのか、製品の知名度がないのか、などなど、自社の問題を明確にすることである。

2 問題解決の提案
・問題が判明したならば、その解決に向わなければならない。問題を放置したままにしておくことがよく見られるが、どのようにしたら問題が解決できるという、解決の探索に進むのが第2のステップになる。
・問題のむずかしさによっては、解決はいくつかの経過を必要とする多段階のものになってしまう。この場合には改善とか、改良をつづけることが大切である。そして、このような継続的な方法よりもむしろドラスティクな解決を行ったほうがイノベーションを果たせることもあるかもしれない。経営者のリーダーシップが発揮しやすい規模の小さい企業では、ドラスティクな方法が有効ともいえる。
・なお、解決の探索にあたっては「実施」という最終のステップのことも考えておかなければならない。解決のための方法が提案され、いくつかの代替案がだされることになると、そのなかから選択を行い、選択されたものを実施していく。これでイノベーションのプロセスが完成されるが、実施はいうまでもなく企業内の人的資源によって行われる。選択される解決のプランには、これまでに経験したことのない新しい要素が含まれていることが予想されており、それは既存の人的資源には学習しなければ対応できないことであるかもしれない。

3 “一味ちがうアイデア”の重要性
・問題の発見、そして、解決の提案の一連の合理的なプロセスをたどると、適切な解決が選択される。そして、これを実施すると、それなりの成果をおさめられる。しかし、イノベーションをもたらすとするならば、提案のステップで、一味ちがうアイデアを入れる必要があるだろう。それは(73)で述べたまさに経営者としての“直観力”とか“ヒラメキ”であり、それも経営の本質であり、真骨頂なのである。
(2018.4.5稿)

永続的成長企業ネットワーク 理事
横浜市立大学名誉教授  斎藤毅憲

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  • 開催日2020年9月20日
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