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【誌上テーマ別サロン】第108回 <基礎講座>   小売食品店のサバイバル戦略(7) ―「中小企業経営学入門」(108)―
【誌上テーマ別サロン】第108回
<基礎講座>
  小売食品店のサバイバル戦略(7)
―「中小企業経営学入門」(108)―
1 「売上不振への漠然とした不安」
・売上不振に悩んでいる小売食品店が多い。不振が長期に及び、売上高の減少幅が多くなると、店舗をつづけることがむずかしく、店をたたむ、など、悲観的な思いに落ちこむことになる。
・そして、比較的うまくいっているとか、横ばい状態になっている店舗でも「売上不振に対する漠然とした不安」にとらわれている。このような場合には、どのようにしたらよいのであろうか。
2 周辺の競争環境の分析
・いうまでもないが、自店舗周辺の競争環境の分析を行うことが必要である。周辺にコンビニがオープンするとすれば、売上不振は不安から現実のものに変わるおそれがある。地方ではモータリゼーションが進んで、移動できる範囲が拡大しているから、周辺は身近な生活圏をこえており、競争は近くのコンビニだけでなくなっている。
・若い世代が車でどこの地域の店舗で食料品を購入しているかを知る必要がある。そして、どうしてその店舗に行くかも調べなければならない。この分析から環境がどうしてもきびしければ、店をたたむとか、他の業種に転換することも考えなければならない。
3 「売れ筋」と「死に筋」の見きわめ
・同業者を中心に競争業者との関係を調べることで、周辺地域における自店舗のポジションが明らかになる。競争がきびしくなりそうであれば、「漠然とした不安」は現実のものに転化してしまう。しかし、もうひとつどうしても行わなければならないのは、自店舗における「売れ筋」と「死に筋」の商品を見きわめてくことである。
・全体的に売れているのか、いないのかを前提に、比較的売れている商品はなにか、あまり売れていないのはどのようなものかを時系列的に調べて、識別しなければならない。レジで金銭の収受を管理するだけでなく、このような売れ筋などの研究を行うことが顧客の分析とともにもとめられる。現金が入ってこなければ経営は近い将来できなくなるが、長期的に見ると売れ筋と死に筋を明らかにし、なにを本当に陳列したり、在庫とするかを明確にできなければ経営には未来がなくなってしまう。
・死に筋は捨て、売れ筋やそれに関連する商品の調達や陳列を強化した店舗づくりを行うことが必要となる。顧客分析をふまえた、このような売れ筋の重視は、売上不振に対する漠然とした不安を当面のところ解消するのに役立つことになろう。つまり、売れ筋重視の経営によって売上高の獲得を可能にする必要がある。
(2019.2.15稿)
永続的成長企業ネットワーク 理事
横浜市立大学名誉教授  斎藤毅憲
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  • 開催日2022年3月5日
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