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【誌上テーマ別サロン】第104回 <基礎講座>   小売食品店のサバイバル戦略(6) ―「中小企業経営学入門」(104)―
【誌上テーマ別サロン】第104回
<基礎講座>
  小売食品店のサバイバル戦略(6)
―「中小企業経営学入門」(104)―
1 店舗継続の危機
・零細な小規模企業の大幅な減少が目立っている。このなかには経営の苦しい食品店の減少も入っており、周辺のとくに高齢者を中心とした生活者を“買物難民”に追いやっている。それは、地域の衰退でもあり、「3重苦」ともいうべき事態になっている。そして、苦しい経営によって店舗をもちつづけることがむずかしくなっている。それは、まさに「店舗継続の危機」であり、閉店や廃業間近かを思わせる。
2 危機を打開する!
・店舗継続の危機は打開できないのであろうか。売上高が減少しつづけ、それが長期にわたっている。働き手がおらず、自分も高齢化して、若いときのようには働けない。取引先が倒産した。これでは確かに経営をつづけることはむずかしい。
・しかし、なんとかならないものであろうか。それをなんとかするのが「経営」である。このようなピンチにあっても考え、実行できることはある。たとえば、売上高の減少がつづいているのであれば、これまでとはちがった顧客や市場があるのかないのかをさぐってみることが大切である。
・調べてみると、地元の企業、団体、学校などに新しいチャンスがあるのかもしれない。鮮魚店が一般の利用者が減少したので、学校や幼稚園の給食市場に進出したケースがあるように、新規市場の開拓は可能であるかもしれない。また、直接に店に出向くことができない人びとが多いのであれば、「御用聞き」を徹底するとか、車を使って食料品の移動販売を行うことで、売上高の減少をおさえることができるであろう。そして、移動販売に専念するならば、固定的な店舗をもつ必要がなくなると思われる。
・働き手の不足も深刻である。しかし、これも致命的なピンチと思いこむ必要はない。短時間勤務などの勤務形態に配慮するだけでなく、報酬の支払い方法などに工夫を行えば、人手不足も解消できる。たとえば、売上高に応じて報酬を増やし、働き手自身が「店主」であるというような意識をもたせ、工夫が生かせるようにするならば、自然に働く意欲が増し、顧客獲得に動機づけられるであろう。長時間・低賃金で、アイデアや意見もいえない主体性がない働き方であれば、働き手が不足するのは当然のことである。
・主要な取引先の倒産もピンチである。しかし、これは取引先の根本的な再検討の機会であり、これを機にピンチをチャンスに変えるぐらいの意義をもつことが大切である。そして、「経営」に対する強い意欲をもっているならば、取引先の開発は比較的容易に可能になるであろう。
3 変わることを恐れないこと!
・現状のままで経営をつづけられるのであれば、ハッピーである。それができないのが現代のビジネスの実相である。要は、変わることを恐れないことである。
                           (2018.10.3稿)
                    永続的成長企業ネットワーク 理事
                    横浜市立大学名誉教授  斎藤毅憲
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  • 開催日2021年12月5日
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