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【誌上テーマ別サロン】第103回 <基礎講座>   小売食品店のサバイバル戦略(5) ―「中小企業経営学入門」(103)―
【誌上テーマ別サロン】第103回
<基礎講座>
  小売食品店のサバイバル戦略(5)
―「中小企業経営学入門」(103)―
1 スモール・ビジネスの要諦とはなにか
・どのようなものであれ、スモール・ビジネスにとって重要なポイントはなにかというと、「経営者(社長)の顔」が思いだせることである。これは食品店にもあてはまる。小売業は商品を販売しているから、店舗にある商品がその店の顔になっている。電気屋は電器製品を陳列しているから、電気製品がその店舗の顔となり、食品店では食料品がそれになる。
・しかし、とり扱う商品だけでなく、「経営者」自体も店舗の顔にならなければならない。このことを十分に認識することが大切である。消費者にとってどうしても必要であるから、食料品自体はどこでも自然に売れるという側面も確かにあるが、なにを大切にして商品を販売しているのかという経営者の経営上の工夫や考えによっても販売の実績につながるところが多い。どこの店舗でもいいというわけではなく、“あの店、この店”というように、消費者は店舗の選択を行っている。
・電気製品のように、標準化された大量生産品の場合、価格や仕事サービスのちがいはあっても、どの電気屋で購入してもほぼ同じであるが、とくに食料品の素材の場合、経営者の意思決定によって陳列される商品の品質や価格にかなり差があり、それが消費者の関心や支持にかかわっている。たとえば、安売り店の店主は、店頭にたって、それをアピールするとともに、そのような安価な商品を陳列している。そして、経営者がみずから店頭にたって活発に活動していけば、自然と経営者も商品と同じように会社の顔として消費者に認知される。
2 個店のアピール度をつくる「経営者」
・このように考えてくると、食品店のような小売業では、とり扱う商品だけでなく、経営者も、会社の顔になるということである。この会社の顔になるということは、経営者がその個店を消費者などにアピールする主体になりうることを意味している。それはその小売店が消費者に知られるようになり、とりわけ消費者の支持と信頼が得られると、その消費者はその小売店のリピーター(固定客)になっていく。しかし、逆に消費者のニーズやイメージにあわない場合には、その店舗での購入の機会は減少してしまう。
・いずれにせよ、経営者は会社の顔になるように、意を注ぐ必要がある。単に商品を売っているだけでなく、社長自体も売りにだすぐらいの気概をもって経営にあたることが食品店にはもとめられる。
3 「店舗パーソナリティ」の確立を!
・さて、経営者が個店のアピール度をつくるということは、その店舗が独特のパーソナリティ(人格)やキャラクター(特徴)をもつようになることを示している。それは消費者からみると、「この食品店はこのような店だよね」というイメージを与えるものとなる。それはその個店の存在価値になり、生きつづけるためには必要なものとなる。
            (2018.10.1稿)
        永続的成長企業ネットワーク 理事
        横浜市立大学名誉教授  斎藤毅憲
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  • 開催日2021年11月20日
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