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【訪問型サロン】(第6回) <Yokohama Excellent Company (YEC) 第6回> 『㈱キクシマの菊嶋秀生社長に聞く』[(その2)/3回連載]

【訪問型サロン】(第6回)
<Yokohama Excellent Company (YEC) 第6回>
『㈱キクシマの菊嶋秀生社長に聞く』[(その2)/3回連載]

1 日 時 2019年6月28日
2 場 所 ㈱キクシマ関内オフィス
3 聞き手 永続的成長企業ネットワーク代表理事 吉田正博
々        理  事 斎藤毅憲(文責)
々        フェロー 増田竜雄
4 内 容 以下の通り[(その1)の続き]

[デザイン重視の経営へ] 現社長が就任してから、キクシマの経営を明らかに転換している。住宅関連の金物加工から重量鉄骨、そして総合建築へ移行しつつ、同社の経営の基盤が創業者によってつくられてきたが、2代目になると、前述したように横浜を代表するCSR企業になるとともに、デザイン重視の経営を積極的に展開してきた。
・社長就任から2年目にあたる2000(平成12)年に、「鎌倉山の家」が東京建築士会住宅建築賞を受賞したが、その端緒であり、はじめて手がけたデザイン住宅が表彰をうけている。それまでにも同社は各種の受賞の栄にあったが、これ以降、デザインの優秀性が評価されることが多くなっている。
・特筆すべきは、2008(平成20)年から神奈川建築コンクールでは毎年連続して受賞していることである。とくに、第57回のコンクール(2013(平成25)年)では、「空の箱」(鎌倉市)と「秋谷の家」(横須賀市)の2作品、さらに第62回の2018(平成30)年には「下永谷の家」と「川和保育園」(いずれも横浜市)の2作品がダブル表彰をうけている。
・なお、「川和保育園」については、1957(昭和32)年に創設されたわが国唯一の総合的なデザイン表彰である「グッドデザイン賞2018」をも受賞している。
・時代のトレンドは、規格のきまった大量生産型の建物から、使う側の「個」のこだわりを重視するものへとニーズが変わっており、同社はこれをうけて若いすぐれた建築家とコラボして、このデザイン重視の経営を展開してきた。そして、幼稚園・保育園などでは、保育の理念や内容、子どもたちのライフスタイルさらに立地の条件などに配慮した“オンリーワンの”園舎づくりに心がけており、これはすでに述べた「赤い屋根保育園」からスタートしている。
・また、デザインだけでなく、コストや品質にも配慮した「プロジェクト1000」住宅も興味深い。これは1,000万台の価格で納得できる家づくりをすすめようというプロジェクトである。これも使う「個」のこだわりを尊重したものといえる。

[団地再生プロジェクトへの参加] CSRを展開するなかで、同社は、“社会に開かれた企業”となり、特定顧客とのフェイス・ツウ・フェイスといった個別的な関係から、社会的な拡がりをもったものに変わり、同社のステイクホルダー(利害関係集団)はきわめて多様になってきた。2011(平成23)年、同社は団地再生計画『めじろ団地再生』(横浜市)にかかわっている。横浜市への大幅な人口流入に対応するために、1970年代に建設された「めじろ団地」を対象にした団地のリノベーションを提案するもので、建築家とコラボした作業であった。
・横浜市では、東京首都圏における人口増加への対応のために、住宅地の開発が大規模に行われてきたが、約半世紀たった現在、それらの住宅地の建物の老朽化と住民の高齢化、空き家化が進んでおり、多くの複雑な課題をかかえていることは、周知のとおりである。つまり、増改築、リノベーションや団地再生のニーズは高いのである。
・なお、同社も東日本大震災の復興を支援を行っており、笑顔の再生「モバイル・すまいる」プロジェクトに参加し、石巻市(宮城県)に「40フィード・コンテナハウス」を設置している。

[まちづくりへの貢献] 2010(平成22)年、東京急行電鉄(株)と業務提携を行い、「住いと暮らしのコンシェルジュサービス」という無料の相談窓口を開設している。これは、東急沿線を住みやすい街にしたいという願いのもと、住居の購入・売却・賃貸・建築・リフォーム・インテリアなどの広範な分野での支援を行うものである。
・そして、2015(平成20)年、会社設立50周年を記念して、「横浜をより輝いた街にする」との思いで、「ストリートファニチャーデザインコンテスト」を開催している。横浜市の後援も得て、建築家・デザイナー、写真家、まちづくりの専門家などを審査員にしたコンテストを行っている。建築やデザイン関係の学生や一般からの応募は、100作品以上となり、そのなかから3作品が優秀賞になっている。
・この優秀作品については、実際に制作し、期間限定で街に設置し、市民に「見て、触れて、楽しんで」もらっている。そして、翌年の2回目からは、横浜市内の多くの企業や団体をまきこんだかたちでの運営に変わっている。このコンテストの発展は横浜の心豊かで、美しいまちづくりに大きく寄与するだけでなく、他の都市のそれにも波及していくことが期待されている。
[以上(その2)/3回連載]

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Information
  • 開催日2019年7月14日
  • 場所
  • 時間
  • 費用