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<ニュース> 東京商工リサーチ 第12回「新型コロナウイルスに関するアンケート」調査から(2021.01.22:公開)
<ニュース> 東京商工リサーチ 第12回「新型コロナウイルスに関するアンケート」調査から(2021.01.22:公開)
・新型コロナウイルス感染拡大で、11都府県に再度の緊急事態宣言が発令された。今回のアンケートは新型コロナ感染者数が全国で急増した時期に実施した。
◇調査結果のポイント◇
・中小企業の「減収企業率」は70.3%、前月比1.7ポイント改善 ・「売上半減率」、宿泊業や生活関連サービス、娯楽業、飲食業で3割超
・中小企業の「廃業検討率」は8.1%、前月比0.05ポイント悪化
・飲食店の「廃業検討率」は37.8%、前月比5.0ポイント悪化
・「倒産・廃業」、94.6%が2021年は「増える」 と予想
・「在宅実施率」、最高は東京の66.8% ・コロナ禍での金融機関の対応、「満足」が86.2%
・「事業再構築」、実施・検討が46.8%
☞感染防止で外出自粛が広く呼び掛けられるなか、飲食店の「廃業検討率」は5.0ポイント悪化し、37.8%となった。また、2020年12月の売上高が前年同月との比較で、半減以下となった企業の割合(売上半減率)が、飲食業や宿泊業などで3割を超えた。コロナ禍で三密回避や外出自粛を求められ、個人消費者を対象にする業種では業績が大きく落ち込んでいる。
☞政府は、2020年度第3次補正予算で業態転換などに取り組む企業に最大1億円の「事業再構築補助金」を支給することを決めた。こうしたなか、2年以内の事業再構築を「実施・検討」している企業は46.8%と半数近くにのぼった。ただ、1年以内の黒字化を見込む企業(すでに黒字化含む)は24.6%にとどまり、事業再構築は容易でないことが浮き彫りになった。
☞「在宅実施率」の全国平均は35.4%だった。最高は東京都が66.8%で7割近くに達したが、埼玉県は27.1%、千葉県は28.8%にとどまり、首都圏での温度差が際立った。
※2021年1月5日~14日にインターネットでアンケートを実施し、有効回答1万2,176社を集計、分析した。資本金1億円以上を大企業、1億円未満や個人企業等を中小企業と定義した。
◇押えるポイント◇
・新型コロナ感染拡大に伴い、緊急事態宣言が再発令された11都府県以外でも新規感染者数が急増するなか、中小企業の「廃業検討率」は8.1%に悪化した。2カ月連続の悪化で、飲食店は37.8%に達した。飲食店は「事業再構築の実施・検討率」が 84.3%と、全業種のなかで唯一8割を超えた。三密回避や外出自粛の影響が直撃している飲食店では、多くの店舗が従来のビジネスモデルに「あきらめ」を感じている様子が浮かび上がる。
・コロナ禍で、取引先の倒産や廃業に直面した企業14.0%だった。手厚い資金繰り支援策で 2020年の企業倒産は7,773件(前年比7.2%減)にとどまった。だが、休廃業・解散は4万9,698 件(同14.6%増)と過去最多を記録した。倒産減少で不良債権は抑制されたが、休廃業・解散の増加は取引先の喪失につながり、今後の売上確保に課題を残す。また、借入金や商取引債務のリスケや支払い猶予で資金を繋ぐ企業は多く、こうした企業の取引先は債権回収の可能性が低下することも危惧される。
・新型コロナのワクチン接種の準備が進むが、感染拡大の抑制メドが立たないと企業間取引が コロナ前の水準に戻ることは難しい。また、運転資金の円滑な供給や与信枠拡大に支障が生じた場合、経済の再活性化が阻害されかねない。
・コロナ禍でも金融機関の対応に86.2%の企業が満足している。「親身、迅速な相談」や「保 証協会や制度融資の活用への対応」を評価する声が多いが、金融機関の自己都合を優先し、困 難に直面した企業に寄り添う姿勢がみえない金融機関もあるようだ。保証や担保に過度に依存せず、プロパー融資や経営改善のサポートをもう一度見直すことも必要だろう。
・現在の資金繰り支援を継続しつつ、収束後の円滑な経済再開を見据えた取り組みに切れ間が 生じないように、企業と金融機関、政府、自治体は再確認する必要がありそうだ。