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<トピックス> 価格転嫁に関する神奈川県内企業の実態調査(帝国データバンク調査から) コスト100円上昇に対し、価格転嫁は37.6円 ~ 経費の削減など自助努力でコスト上昇に対応 ~
<トピックス>
価格転嫁に関する神奈川県内企業の実態調査(帝国データバンク調査から)
コスト100円上昇に対し、価格転嫁は37.6円
~ 経費の削減など自助努力でコスト上昇に対応 ~
はじめに
・2022年から続く原油・原材料価格の高止まりや為替相場の動向などは、2023年も依然として企業活動に影響を及ぼしている。
・さまざまな商品・サービスの価格改定が行われるなか、政府は物価高騰に対応する各種施策を打ち出している。
・さらに公正取引委員会は主体的に取引価格の引き上げ交渉を行っていなかった企業を公表するなど、価格転嫁の促進を図っている。
☞そこで、帝国データバンク横浜支店は、価格転嫁に関する企業の見解を調査した。本調査は、TDB景気動向調査2022年12月調査とともに行った。
[調査期間は2022年12月16日~2023年1月5日、調査対象は神奈川県所在の1283社で、有効回答数は563社(回答率43.9%)]
<調査結果>
1 「全く価格転嫁できていない」企業が17.6%、価格転嫁率 は37.6%と低位にとどまる
・自社の主な商品・サービスにおける、コスト上昇分の販売価格やサービス料金への転嫁について、『多少なりとも価格転嫁できている』企業は 65.4%となったが、「すべて転嫁できている」企業は5.5%にとどまった。一方、「全く価格転嫁できていない」企業は17.6%に。
2 価格転嫁率は卸売、小売、製造で全体(37.6%)を上回る
・価格転嫁率を業界別に見ると、卸売(53.5%)、小売(46.5%)、製造(41.3%)は全体(37.6%) を上回った。一方、サービス(22.7%)、運輸・倉庫(31.0%)、建設(31.6%)、不動産(33.3%) は全体を下回った。
3 価格転嫁以外の対応策、「自社経費の削減」が60.7%でトップ
・コストアップに対する価格転嫁以外の対応策では、「自社経費の削減」が60.7%で最も高い(複数回答)。以下、「ロスの削減」(38.4%)、「生産の効率化」(24.6%)、「内部留保による対応」(17.1%)が続く。
4 価格転嫁できない理由、「取引企業から理解が得られ難い」がトップ
・価格転嫁ができない難しい理由は、「取引企業から理解が得られ難い」が37.2%でトップ(複数回答)。以下、「自社の交渉力」(24.2%)、「消費者から理解が得られ難い」(15.9%)と続いた。他方、取引企業との交渉そのものができていない企業も一部でみられた。
まとめ
・本調査の結果によると、自社の商品・サービスのコスト上昇に対して、多少なりとも価格転嫁ができている企業は 65.4%となった。
・さまざまなモノの価格が上昇していることに対する認知や理解が、少しずつ進んでいることを示すと言えよう。
・一方、すべて価格転嫁できている企業は 5.5%にとどまった。価格転嫁率は37.6%と4 割を下回っており、企業がコスト上昇分を負担している状況が浮き彫りとなった。
・価格転嫁についての認知や理解が進んでいても自社の商品・サービスの価格が高まれば、取引企業や消費者から選択されなくなることを危惧する企業は多い。
・他方、価格転嫁が進まない要因として、交渉自体が行えない点をあげる企業もあり、政府によるさらなる取引の適正化に資する取り組みが必要不可欠となっている。