【セミナー:特別企画】第41回
<人生100年時代へのヒント:長寿者/百寿者のことば・生き方㊶>
日野原重明『生きていくあなたへ 105歳どうしても遺したかった言葉』幻冬舎2017年
・著者の日野原重明氏は、1911(明治44)年10月4日生まれ、1937年京都帝国大学医学部卒業。1941年聖路加国際病院に内科医として赴任。1951年米国エモリー大学に留学。1973年㈶ライフ・プランニング・センターを設立。1992年聖路加国際病院長に就任。同名誉院長、聖路加国際大学名誉理事長を歴任。2000年「新老人の会」を結成。2005年文化勲章受章。2007年日本ユニセフ協会大使に就任。2010年コルチャック功労賞受賞。2017年7月18日逝去。[出版プロフィールより](出版時)
内容紹介
「人間は弱い。死ぬのは僕もこわいです。」105歳の医師、日野原重明氏が、死の直前まで語った、希望と感謝の対話20時間越。最後の力を振り絞り伝えたかった言葉とは。生涯現役、渾身最期の一冊。
「死ぬのは僕でも怖いんだよ。」だからこそ、朝起きて自分が生きていることが、心から嬉しい。105歳になっても尚、僕にはまだ自分でも知らない未知の自分がたくさんあると感じているのです。
今、最後の力を振り絞って私がしたいのは、あなたとの対話です。人生の中で、いつも私と共にあったのは言葉でした。
私が言葉によって支えられてきたように、迷い傷ついたあなたへ、私の最期の言葉を伝えたいのです。(本書より抜粋)
2017年7月18日この世を去られた日野原重明さん。2016年年末からはじまった本書のインタビューは、亡くなる直前まで、時にはベッドに横たわりながら20時間以上行われました。言葉を軸にしながら、死と生、病と健康、出会いと別れ等々、人生の深淵について語ります。[出版社商品説明より]
【本書の内容】
第1章 死は命の終わりではない
第2章 愛すること
第3章 ゆるすことは難しい
第4章 大切なことはすぐにはわからない
第5章 未知なる自分との出会い
おわりに―輪島東太郎
日野原重明氏 ご本人のあとがきにかえて
「生きていくあなたへ」日野原重明最期のメッセージ
・本書は、まさに死を目前に、時にはベットに横たわりながら、20時間以上紡がれた魂の独白、生涯現役、渾身最期のメッセージ。
・日野原氏はキリスト教徒であることから、本書においても聖書に引き付けた話が多いが、本書の魅力は、決してキリスト教の部分ではなく、何より、「日野原重明」という人間が最後まで現役として悩み惑っている姿が清冽である。
日野原重明氏の言葉から
・死ぬということは人間にとって、また僕にとっても経験していない「未知」の部分なので恐ろしいのだと思います。自分が経験したことのないことについては確信が持てないからこそ、恐れの気持ちがわいてくるのでしょう。
・死ぬということは、・・・終わりではなく、新しい何かが始まるという感覚です。
・長生きそのものを目標にしてここまで生きてきたわけでもありません。
・それでもやはり長生きしてよかった。長く生きるというのは素晴らしい。というのも、100歳を超えたあたりから、自分がいかに本当の自分を知らないでいたかということを感じるからです。
・105歳の今、未知の自分を知ることができたという気づきに価値があるのです。人生の午後が長いということは、幸せなことです。
・ありのままに生きるということは、飾ることなく、人からの評価に左右されることなく、自分に与えられた能力、環境を、自分がやるべきことのために使うという、難しいようでシンプルな働きなのです。
・愛するということは、相手のそのままを受け入れて大切に思うことです。
・ゆるすとは、・・・「相手のことを自分のごとく思う心」という意味なのです。
・(よど号ハイジャック事件に遭遇して)僕はあのとき一度死んだのだと思っています。過去の古い自分が死んで、新しく生まれ変わったのです。あの日以来今日まで、神様から頂いた新しい命を、自分以外の人間のためにすべて使おうという生き方を続けてきたつもりです。
・今悲しみの真っ只中にいても、・・・・生きていてよかったなと思える瞬間が必ずやってきます。そのときを信じて待つのです。
・夜が暗ければ暗いほど、朝の光が眩しい。冬が寒いほど、春の優しさが身に沁みます。本気で泣いた経験のある人はまた、人の痛みを知ることができます。
・考えてみれば、運やチャンスというものは、目に見えません。だからこそ、自分も神様に愛されている、大切にされている、苦しみも私の成長のために与えられたのだ。そしてその後に、必ず私にも大きなご褒美を用意してくださっている。僕はそう信じています。
・同時代の人がすぐにはわからなくても、真に価値のあるもの、つまり真に美しいものに時代は必ず追いついてきます。歴史の評価に堪えうる強さがあるからです。
・まったく抵抗のないチャレンジはありません。むしろ、抵抗があるからこそチャレンジなのです。
・人間というものは、苦難にあわなければなかなか目が覚めない。
・人間というのは不思議なもので、苦しいとき、逆境のときにこそ自分の根源と出会うことができるのです。
・病や苦難によって、新しい自分を見つけたら、その恵みを受け取ると同時に、過去の自分の皮を脱ぎ棄てましょう。常に「キープオンゴーイング(前に進み続けよう)」。
・愛情にもとづいた人間の行動こそが問われる。機械化が進めば進むほど、これからはますます愛を大切にする時代になってくるでしょう。
・最近僕は、「運動不足」より「感動不足」のほうが深刻なのではないかと感じています。
・自分の与えられた命に感謝し、時間を人のために使える人。されにいえば、時間はまさに「タイムイズマネー」です。得たお金をも、他者のために捧げることのできる人、僕はそのような人が本当に偉い人なのだと思います。
・ライフワークという言葉がありますが、僕にとって働くというのは生きることと同義です。
・自分が生きていることをどれだけ社会に還元できるのか、もっと言えば自分に与えられた命という時間をどれだけ人のために使えるかということが、働くということなのです。それは、使命と言い換えてもいいかもしれません。
・特定の誰かのためでもいいし、社会のため、未来のためでもいい。利他の精神があり限り、人間にとって仕事に終わりはないのでしょう。
・自分の使命と向き合い続けることで、自然と生きることと働くことが一体化していく、そんな状態こそ理想の現役像といえるのではないでしょうか。
・(次の目標は)頂いた命という残り少ない時間をめいっぱい使って、人のために捧げるということです。そして、その過程で、未知なる自分と向き合い、自己発見をすること。それを最期のその時まで絶え間なくつづけていくということです。
・一歩を踏み出せば、見えてくる景色が変わる。行動こそが不安を打ち消してくれる。
・変化を恐れない。未知とは、変化する可能性のこと。変化していく自分を待望してほしい。
・長生きをしなければね、感謝がこれほど絶大なものであるということは考えられなかったね。
・キープオンゴーイング。さらに、前進また前進を、私たちは続けなくちゃならない。喜びと感謝でキープオンゴーイング。
本書は、帯にもあるが、「涙が溢れてとまらない。読み返すごとに生き方が変わる」。まさに日野原先生との対話の一冊である。
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