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【誌上テーマ別サロン】第109回 <基礎講座>   社内人材への事業継承 ―「中小企業経営学入門」(109)―
【誌上テーマ別サロン】第109回
<基礎講座>
  社内人材への事業継承
―「中小企業経営学入門」(109)―
1 不足する後継人材のなかで!
・スモール・ビジネスをつづけるうえでのネックとして、後継人材の不足があげられている。子どもや親族で後継者がいれば、かれらに承継させることができるが、承継予定の子どもは少子化のなかで減っているし、親族間の関係も希薄になっている。このようななかでもっとも有力な後継人材の供給プールは、社内人材である。それは、現在、社内で働いている人的資源のなかから、候補者を発掘し、育成したり、選抜することである。
2 社内人材の評価
・スモール・ビジネスの人的資源の質は、イメージ的にはあまり高くないと思われている。しかし、その見方は正しくない。たしかに、バラツキは見られるが、後継人材の候補者は確実にいることであろう。
・社長の立場からみると、自分と同じくらい仕事ができると思われる人材はいないであろう。どの仕事もあまりうまくできない人間は少ない。このような人材はだれから見ても仕事ができない人間である。
・しかし、残るほとんどの人材は“○○の仕事はできるが、××の仕事は経験がないので、できない(であろう)”という人たちである。そして、このような人材をしっかり評価し、長所(強み)や短所(弱み)を把握しなければならないし、とくに、短所については学習や経験によって是正したり、能力開発できるものかを冷静に考慮する必要がある。学習するとか、経験をつめば、できないと思われたものもできるようになるのが、普通の人間である。よくいわれる“ポストがヒトを育てる”ではないが、その辺の予測を行うことがもとめられる。
・したがって、候補となりそうな社内人材がいれば、非公式に社長学を教えてみたり、社長直属のプロジェクトを経験させてみることが大切である。すぐに次期社長的なポストに就けずに、本当に後継人材の候補者になるかを確認する姿勢が大切である。スモール・ビジネスの経営にとって、社長の役割がきわめて大きいことを考えると、この作業はどうしても必要なのである。
・社長として、自分はまだ若く、十分やっていけるので、後継人材の発掘を考える段階ではないと思っている人もいる。しかし、この考え方もまちがいである。社長はいつでも後継人材のことを思っていなければならない。それは、企業の存続と発展にいうまでもなくかかわっている。
3 社内人材のベスト・ミックスづくり
・最終的には、後継社長を選ぶだけでなく、社内の望ましい人員配置体制をつくり、社内人材の「ベスト・ミックス」をどのようにまとめあげるかが大切である。要するに、後継社長を支援する他の社内人材も満足して働ける状態を創造しなければならない。
(2019.3.10稿)
永続的成長企業ネットワーク 理事
横浜市立大学名誉教授  斎藤毅憲
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  • 開催日2022年4月5日
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