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<トピックス>【新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査】(2020年7月) 7割近くの企業で既に業績にマイナスの影響  ~ 外出自粛の影響が色濃い業種で売り上げ確保が厳しい状態続く ~ [帝国データバンク調査から] (2020.8.12リリース)

<トピックス>【新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査】(2020年7月)
7割近くの企業で既に業績にマイナスの影響
~ 外出自粛の影響が色濃い業種で売り上げ確保が厳しい状態続く ~
[帝国データバンク調査から] (2020.8.12リリース)

はじめに
・2020年5月25日に緊急事態宣言、6月19日には県境を跨ぐ移動制限が解除され、日本の社会・経済は段階的に動き始めた。しかし、新規感染者数の最多更新など新型コロナウイルスの感染再拡大による経済活動の停滞が懸念されている。また、政府は、雇用の維持や事業継続、地域の活性化に資する需要喚起策など緊急経済対策を進めている。
・そこで、帝国データバンクは、新型コロナウイルス感染症に対する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2020年7月調査とともに行った。
▣調査期間は2020年7月16日~31日、調査対象は全国2万3,680社で、有効回答企業数は1万1,732社(回答率49.5%)。なお、新型コロナウイルス感染症に関する調査は、2020年2月から毎月実施し、今回で6回目

調査結果
1 新型コロナウイルス感染症による自社の業績への影響、『マイナスの影響がある』と見込む企業は82.7%となり、3カ月連続で減少した。内訳をみると、「既にマイナスの影響がある」(68.4%)が前月から1.8ポイント増加し7割近くにのぼった。一方、「今後マイナスの影響がある」(14.3%)は3.6ポイント減少し2カ月連続で1割台となった
2 『マイナスの影響がある』を業界別にみると、『運輸・倉庫』が87.5%で最も高い。次いで、『製造』(85.7%)、『不動産』(85.0%)となった。業種別では、「旅館・ホテル」が97.0%で最も高く、5カ月連続で95%以上の企業がマイナスの影響を見込んでいた。以下、「娯楽サービス」(96.8%)、「繊維・繊維製品・服飾品卸売」(94.1%)が続く
3 『プラスの影響がある』は、スーパーマーケットなどの「各種商品小売」が38.1%で最も高く、4割近くにのぼった。次いで、「飲食料品小売」(17.1%)、「家具類小売」(13.3%)が続いた
・『プラスの影響がある』と見込む企業を業界別にみると、『小売』が 9.1%で最も高く、そのうち 6.4%は既に業績へプラスの影響が表れている。次いで、『金融』(3.9%)、『卸売』(3.7%)、『製造』(3.2%)が続く。さらに、業種別にみると、スーパーマーケットなどの「各種商品小売」が 38.1%で最も高く、4割近くにのぼった。次いで、「飲食料品小売」(17.1%)、「家具類小売」(13.3%)、「飲食料品・ 飼料製造」(11.1%)、インターネット接続業などの「電気通信」(10.0%)が上位に並んだ。また、従業員数別にみると、従業員数が6人~50人および301人以上の企業で全体(3.1%)を上回った。

4  2020年7月の売り上げ見込み、前年同月比で平均85.4%となった。減少を見込む企業は約3社に2社となり、特に前年同月比で1~20%の減少とみる企業が3割超で集中した。他方、増加を見込む企業は1割程度となり、横ばいは17.4%であった

まとめ
・本調査の結果、企業の 8 割超で新型コロナウイルス感染症により業績にマイナスの影響があると見込んでいたものの、4月調査をピークに 3 カ月連続で減少となり、徐々に先行きに対する不安が薄らいでいる様子もうかがえた。しかしながら、「テレワークやWeb会議の活用に努めてきたが、緊急事態宣言の解除以降、緩みつつある。再度徹底したいが立て直すのは難しい」(内燃機関電装品製造、北海道)というように、緊急事態宣言解除後の行動の変化を指摘する声も聞こえている。
・一方で、プラスの影響を見込む企業は緩やかであるが増加している。在宅時間の増加にともなう需要の拡大以外にも、生産の国内回帰による需要増加や業務内容の改善による好影響がもたらされていた。
・7月の売り上げでは、約3 社1社が前年同月比で1~20%の減少を見込んでいる。とりわけ、「旅館・ホテル」など外出自粛の影響を最も大きく受けた業種では非常に厳しい様子が明らかとなった。「旅館・ホテル」「娯楽サービス」「飲食店」のほか、4月、5月においては「繊維・繊維製 品・服飾品小売」と「広告関連」が、6月は「広告関連」と「輸送用機械・器具製造」が深刻な影響を受けていた。他方、社会インフラに関わる業種においては、比較的売り上げへの影響は小さくなっていた。
・2020年5月25 日に緊急事態宣言が解除された以降、移動やイベント開催に関する規制などが徐々に緩和され、日本の社会・経済は再び動き出した。しかしながら、国内の新規感染者数が最多を更新したほか、一部の都道府県で再び外出自粛要請を行うなど不安や混乱が広がっている。政府や自治体は、経済再生と感染拡大防止の両立について、丁寧かつ具体的な説明とともに、速やかに施策を実行することが重要となろう。
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p200802.html