<トピックス>「ゼロゼロ融資」利用後の倒産 7月は61件発生 2020年からの累計968件、8月にも1,000件を突破 [東京商工リサーチ調査から] ~ 2023年7月「ゼロゼロ融資後」倒産の状況 ~
<トピックス>「ゼロゼロ融資」利用後の倒産 7月は61件発生 2020年からの累計968件、8月にも1,000件を突破 [東京商工リサーチ調査から]
~ 2023年7月「ゼロゼロ融資後」倒産の状況 ~
・実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)を利用した後の倒産は、 2023年7月は61件(前年同月比74.2%増、判明分)発生した。
・前月と並び月間では3月の63件に次ぐ、2番目の水準だった。
・2020年7月に初めて倒産が確認されてからの累計は968件に達し、8月には1,000件に達する可能性が出てきた。
・ゼロゼロ融資は、コロナ禍で急減な業績悪化に見舞われた中小・零細企業の資金繰り支援として実施され、劇的な倒産抑制をもたらした。
・だが、副反応として過剰債務に陥った企業は多い。
・返済がピークを迎えるなか、業績回復に至らず倒産に追い込まれる企業が増えている。
・産業別では、最多はサービス業他の24件(前年同月比166.6%増)で、このうち飲食業が11件を占めた。
・食材や光熱費の高騰、人手不足による機会損失で業績回復が遅れた企業の「息切れ」が目立つ。
・負債額別では、最多は1億円以上5億円未満の27件(構成比44.2%)で、1億円以上は31件(同50.8%)と半数に達し、次第に中堅クラスにも倒産が広がっている。
・コロナ禍は出口が見えつつあるが、ロシアのウクライナ侵攻や円安進行で原材料やエネルギー価格が上昇するほか、人手不足に伴う人件費の高騰などが中小企業の経営を直撃している。
・商品やサービス価格への転嫁が進まず、収益が低下するなか、ゼロゼロ融資は返済がピークを迎えた。
・特に、元本だけでなく利子返済も加わり、返済の負担が増している。
・政府は今年1月、中小企業の急激な資金繰りの悪化を防ぐ手立てとして「コロナ借換保証」を創設したが、金融機関の継続的な伴走支援などもあり、浸透しているとは言い難い。
・抜本的な経営改善が見出せない企業に対して、これまで通りの資金繰り支援に止まるのか、本業支援を含めた支援まで広げるのか、対応が急がれる。