[永続企業へのヒント:この一冊』 ~田中真澄『百年以上続いている会社はどこが違うのか?』致知出版社~
[永続企業へのヒント:この一冊』
~田中真澄『百年以上続いている会社はどこが違うのか?』致知出版社~
・著者の田中真澄氏は、昭和11(1936)年生まれ。東京教育大学卒業。日本経済新聞社・日経マグロウヒル社を経て、昭和54(1979)年独立。ヒューマンスキル研究所を設立、以来37年間、社会教育家として講演・執筆に活躍中(2015年出版時)。
内容紹介
・本書ではなぜ日本には老舗が多いのか、その歴史的背景や老舗の経営哲学、家訓などが幅広い知識で綴られているが、単なる老舗の解説本ではない。著者が「独立時に、また仕事を展開していく過程で、老舗の歴史・家訓から学んだことを綴り、 時折私の体験や意見を織り込みながら、老舗を説明しています」と語るとおり、 老舗のノウハウを自らの人生にも生かすことにより、日々をどう生きるか、本書にはそのヒントに満ちている。
時代を越えて商売繁盛を続ける永年企業は何が違うのか? 老舗研究50年のカリスマ講師が語る、商売繁盛の法則。
目次
第1章 日本は圧倒的に世界一の老舗大国
第2章 老舗が激動の時代を乗り越え生き残ることができたのはなぜか
第3章 老舗に学ぶ事業永続の秘訣
第4章 老舗の家訓から見えてくる「まともな日本人」の生き方
第5章 各地の老舗が先頭に立って挑みつつある地方再生の姿
第6章 老舗に学び36年間独立人生を歩んできた私からの提言
おわりに
主な著者の言葉
・著者は韓国の中央銀行(韓国銀行)のデータ(「日本企業の長寿要因および示唆点」2008年5月報告書)から、老舗世界ランキングを紹介している。世界で200年以上の老舗は5,586社(合計41か国)ある中で、3,146社(全体の56%)は日本にあり、断トツの世界ナンバーワン老舗大国、2位ドイツ837社、3位オランダ222社、4位フランス196社、5位アメリカ14社、6位中国9社、7位台湾7社、8位インド3社、その他152社。同報告書は「日本企業がこのように長い歳月の間耐えることができた秘訣として本業重視・信頼経営・透徹した職人精神・血縁を超えた後継者選び・保守的な企業運用が挙げられる」と分析している。
・老舗を支えた家訓の存在。言葉としてか、あるいは行為としてかはともかく、いずれにしろ家訓が存在するからこそ、事業経営の神髄が後継者に伝えられ、それが守られることによって老舗の繁栄は保たれている。
・永続する老舗の家訓に学ぶ。企業が永続するには、規模の大小にかかわらず、何の為に事業を行うのか、その目的を明確化するための経営理念と、その理念を具現化していくための具体的な行動指針が欠かせない。
・老舗に共通した事業永続の哲学。①正直・倹約 ②勤勉 ③陰徳
・長く地域に根づいてきた老舗の経営者の発言や行動は、その地元に対して大きな影響をを与える、それだけ老舗の存在価値は大きい。事例として、群馬県伊香保温泉の再生を目指す老舗の跡取り娘四人衆、老舗の主導で町おこしに成功した新潟県村上市の商店街、弱点を逆手にとって商店街再生に成功した大分県豊後高田市の「昭和の町」、北海道砂川市の地域再生の先頭に立つ菓子業界の活躍、さらに東京日本橋の再生に立ち上がった地元の老舗群を取り上げ、地域にとっての老舗の存在に焦点を当てている。
・老舗に学び独立人生を歩んでいる著者からの提言。日本人の生き方には大別して2つに集約される。一つは、何処かの組織に所属して勤め人として生きる生き方。二つは、学校を出た最初から、あるいは途中から、独立自営の道を選ぶ生き方。今や人生100年を前提とした生き方を目指す世の中になっている。つまり「人生100年を前提に、終身現役を目標に生きていこう」ということ。人生100年を前提に生きる場合、自分の得手機能に時間を集中すること。その最良の解決法は、老舗企業のように、自分に頼る自助の生き方が参考になる。
・これからは、老舗に強い関心を寄せ、生き方も学びとる重要性を再認識した一冊。