[永続企業へのヒント:この一冊』 ~坂本光司『日本でいちばん大切にしたい会社4』あさ出版~
[永続企業へのヒント:この一冊』
~坂本光司『日本でいちばん大切にしたい会社4』あさ出版~
著者の坂本光司氏は、法政大学大学院政策創造研究科教授。専門は中小企業経営論、地域経済論、福祉産業論。7,000社以上の企業を訪問・調査した『日本でいちばん大切にしたい会社』(1~4)をはじめ著書多数。
・企業経営とは、企業に関わりのあるすべての人々の永遠の幸せを追求・実現するための活動。
・企業が経営を進めていく上でとりわけ大切な人は、次の5人。
1人目は、「社員とその家族」。
2人目は、「仕入先や協力工場等で働く社外社員とその家族」。
3人目は、「現在顧客と未来顧客」。
4人目は、「地域住民、とりわけ障がい者や高齢者などの社会的弱者」。
5人目は、「株主・出資者・支援者」。
・まず経営者が大事にしなければならないのは、「社員とその家族」であり、「仕入先や協力工場等で働く社外社員とその家族」。
・そして、社員がとりわけ大切にしなければならないのは「現在顧客と未来顧客」。さらに言えば、その幸せづくりのために全社的に大切にしなければならないのは、「地域住民、とりわけ障がい者や高齢者などの社会的な弱者」。
・あえて言えば、5人目の「株主・出資者・支援者」の幸せは、経営者も社員も、直接的に追求する必要はまったくない、と言っても過言ではない。
というのは、株主や出資者等にとって関心の高い企業の業績や成長、株価などは、前述の4人の満足度が高ければ、結果として実現することだから。
・坂本教授は、株主第一主義経営はもちろんのこと、現在でも多くの企業が信奉している顧客第一主義経営も、今や時代遅れの経営学だと言う。
株主を満足させるために罪のない社員をリストラしたり、仕入先や協力工場等の社外社員に大幅なコストダウンを強要する経営が正しい経営だ。などと考える人は、まずいない。また、いかに顧客を喜ばせるためとはいえ、サービス残業や長時間労働を求めるものはもってのほか。
・サムスン電子の危機意識。
坂本教授のもとにサムスン電子のスタッフが取材に。彼らの質問、
「なぜ、かつて世界の企業や経営者の羨望の的であり、経営モデルといわれた日本の著名な〇〇や□□といった大企業が、近年おかしくなってしまったのでしょうか。それらはいずれも、サムスン電子が長年、目標・ベンチマークにしてきた会社ばかりです。わが社が将来そうならないためには、どんな点に留意して今後の経営を考え、進めていけばよいと考えますか」
・作家、村上龍氏が「金銭・利益以外の価値、それが何なのかを示す必読の書」と絶賛(帯で紹介)。とあるように、永続企業を目指すものにとって価値ある一冊である。