第10回職欲の未来@ヨコハマスペシャル 開催報告
1 開催日 平成28年12月4日(日)
2 会 場 富士通エフサス(みなとみらいInnovation & Future Center)
3 主 催 横浜市立大学(ジョブヨク企画運営チーム)、SoLaBo、永続的成長企業ネットワーク
4 共 催 富士通エフサス
5 参加者 60名(大学生及び社会人)
6 内 容 ワークショップ(ワールドカフェ形式)
・世代を超えた社会人(企業経営者・社員)と大学生が8テーブルに分かれ、『あなただけの「ワーク・ライフ・バランス」』をテーマに意見を交わした。
・以下、齊藤理事の「見学記」
[見学記]
第10回職欲(ジョブヨク)の未来@ヨコハマスペシャル
――平成28年12月4日 富士通エフサス――
永続的成長企業ネットワーク理事
横浜市立大学名誉教授 斎藤毅憲
・ヨコハマスペシャルは10回目となった。前回はどうしても私用で出席できなかったが、他はすべて参加して見学させていただいた。今回は横浜市立大学の岡田副学長のもと同大学の6名の学生が力を結集して開催している。
・8グループがつくられたが、約50名の学生と大人が集まっている。学生と大人のバランスもよく、学生が今回はよく参加してくれたという感じがした。これに主催者と見学者10名がくわわり、参加者約60名の盛況となった。今回主催した学生が設定したテーマは、「ワーク・ライフ・バランス」であり、自己紹介のあと、いつものように3つのラウンドからなっている。ラウンド1は「ワーク」、ラウンド2は「ライフ」、そしてラウンド3はワークとライフのバランスについて意見の交流が行われている。最後にそれぞれの個人が30秒間のコメントを述べて、3時間のプログラムは終了している。その後、ミニパーティを同じ会場で行われ、さらに意見の交流が進められている。
・ワーク・ライフ・バランス(W・L・B)についての一般的な印象といえば、長時間労働、サービス残業など、ワークのウエイトが大きくなりすぎて、ライフの部分がどうしても軽視されがちであり、なんとかバランスをとらなければならないという主張がどうしても前面にでてくるが、今回の意見の交流をヒントにして私見を入れて以下のようにまとめてみた。したがって、あまり見学記とはいえないものになるかもしれない。
・第1は、ワークとライフの関係であり、両者はどうしても対立的な言葉としてとらえられているが、はたしてそれは本当なのか。私の考えでは、ワークはライフ(人生、生活)の一部であり、ライフはワークを包摂している。ライフのなかにワークは含まれ、その重要な要素になっている。ライフは楽しみで、ワークは苦しいことであるという欧米流の思考では、両者は対立するが、“ワークを楽しめるものにしたい”という大人の発言を聞くと、ワークのライフ化が主張されており、対立的なものという主張もうなづける。
・つぎに、ライフの意味であるが、進行係となった市大1年生の女子学生の説明によると、“仕事以外の生活と休暇、やってみたいこと、趣味”としている。定義としてはいいが、どうも定義の後半部分の楽しみのほうに議論が集中してしまい、前半の“仕事以外の生活”の部分についてはあまり意見がだされていなかった感じがする。
・たとえば、ライフにもファミリー・レベルのものと、セルフ(個人)レベルのものがあり、セルフではなく、ファミリー・レベルで考えると、家事、育児、介護など、いろいろな要素が入ってきて、楽しみだけの世界とはいえないものになってくる。とくに女性はファミリー・レベルのライフのウエイトが大きかったので、女性のワークを考えるためにも、“仕事以外の生活”の意味を検討しなければならない。これに対して、男性はファミリー・レベルのライフをこれまで女性に押しつけて、ワークに従事してきたのである。
・第3は、ワークの意味である。いま述べたことにからめていえば、家族内の女性の行ってきた家事、育児、介護などは“無報酬(ノー・ペイド)”、“無料(フリー)”になってきたが、それはワークにはならないのか。女性の行うこのような活動をどう評価するのか。今回は女子学生が多かったので、意見を聞きたかった。
・また、私の問題意識からすると、日本人はワークは企業に雇われて行うものと思っているが、雇われないで働く自営や起業という働き方をどのように考えるのか。
・第4は、ワークとライフのバランスのとり方(バランス、ハーモニー)はキャリアや年代によって異なってくるという主張である。これについては参加した大人のなかにも同じ見解があったが、仕事を学習しているキャリアの初期においては、ワーク中心であり、ライフはどうしてもワークに従属しがちになる。しかし、仕事を覚え、家庭を持つようになると、ライフも大切にしなければならなくなる。また、成人病となり、健康が悪くなると、回復のためにワークはできなくなる。
・最後に、ワークとライフが重なりあうことで発生する効果はないのかということである。ファミリー・レベルで大変な思いをしている女性は、あまりいいワークができないといわれる。それは当然であろう。しかし、ファミリーおよびセルフのレベルでもワークのレベルでも楽しく過ごしている人間には、両者が重なりあうなかで、なにかが起ると仮定できないであろうか。それは、「ワーク・ライフ・バランスによるイノベーション」論であり、興味深いテーマになるかもしれない。
- 開催日2016年12月4日
- 場所
- 時間
- 費用








