[セミナー報告]
第2回職欲の未来@ヨコハマスペシャル
永続的成長企業ネットワークの第2回職欲の未来@ヨコハマスペシャルは、12月22日に開催した。
報告は次のとおり。
第2回職欲の未来@ヨコハマスペシャル 開催報告
1 月日: 平成26年12月22日(月)
2 場所: 関東学院大学KGU関内メディアセンター
3 主催:: 一般社団法人S0LaBo、関東学院大学、一般社団法人永 続的成長企業ネットワーク
4 参加者:58名(SoLaBo&大学生21名、永続的成長企業ネットワー ク37名)
5 内容: ワークショップ(ワールドカフェ形式)
世代を超えた社会人(企業経営者・社員)33人と大学生16人が8テーブルに分かれ、「はたらく」を題に意見を交わした。
以下、齊藤理事の「見学記」
[見学記]
横浜市立大学名誉教授・放送大学客員教授
永続的成長企業ネットワーク理事 斎藤毅憲
壮観な話しあいの場となった。大体6名からなる8グループが一斉に「はたらく」をめぐって話しあいを行った。まさに壮観の一語である。今回は開催者となった関東学院大学の小山嚴也副学長(経済学部教授)のゼミ生がつくった「はたらく」がテーマであった。学生でも一度は考えたことがあるだろうが、しかし実に深いテーマである。
今回のプログラムは、①アイスブレイク、②ワールド・カフェ、③個人発表からなっている。①は自己紹介と他己紹介を通じてメンバー相互の理解を深めている。自分を紹介したうえで、その自分を他人から紹介してもらうというのは、実におもしろい。②はまさに「はたらく」をめぐっての話しあいで、25分がたったところで、1人を残してメンバーを交代して話しあい、これをもう一度、行っている。さすがに大人メンターの話は説得力がある。もっとも、学生も大学の講義とちがってよく聞き、そして話している。最後の③は1分以内で参加者全員に感想、気づき、自分なりの考えを話してもらった。50名ぐらいの学生と大人が円陣をくんで立って話した。全員の発言は熱気にあふれており、参加したことへの充実感で満ちていたように思えた。
③の個人発表のなかで興味をとくに引いたのは、以下である。まず参加した大人メンターの年代別の広がりが大きく、20代、30代の人もいれば、60代、70代、80代もおり、大人どうしでも異世代交流になったことである。そして、就職面接時とはちがった、いわば本音ともいうべき話を学生からうかがえたとか、学生の意識の高さを知ったというビジネスパーソンもおられた。他方、学生の側では、雇用する企業側の意見が聞けてよかったとか、ハングリー精神をもって働いていることがわかってヒントになった、さらに社会人が身近になったなどという発言もあった。2時間ぐらいの間に、学生と大人との相互交流は深まったし、相互に発見があり、価値観も共有されている。
はたらくという漢字は働くであり、人のために動くことである。よく「はたを楽(ラク)にする」といい、他人や社会のために役立つことである。しかし、人は他人や社会のためだけでなく、自分という人のためにも活動しており、お金(生活)や自己成長などをもとめている。要するに、だれのため、なんのために働くのかという議論が当然のことながら行われている。
また、作業と仕事のちがいを述べた社長の発言に共感した人びとも多かった。かえがきく「作業」と自分の存在を示すことができる「仕事」とは明らかにちがうとし、作業を仕事にするためには働く人間の意思とか、意欲(志)が大切であるという主張には納得させられるものがあった。そして、「志事」に強い印象をいだいた人もおられた。
さらに、大人メンター(経営者)の話では、①部下には“がんばれ!がんばれ!”というだけでは無意味で、がんばれる力を与えることが大切である、②人とのつながり、人間関係が大切で、気くばりが必要である、③若い人はやりがいを思ったよりも求めている、④従業員に働きがいを与えていきたい、⑤自己の成長が大切であり、そのためには学習が必要になる、などが発言されている。これらはマネジャーとして部下への対応やリーダーシップのあり方を示している。そこには、若い人びとを育てていかなければならない大人側の回答が見られる。
最後に、もうひとつ気になった発言があった。それは「考えぬく」ことの大切であり、考えぬくことで、いくつかの選択肢をもって働くことが必要であるという。ひとつの考えだけではダメであり、それだけにこだわれないという。日常の仕事のなかで、考えぬくことはどれだけ行っているのだろうか。そして、いつものやり方だけを使用し、ほかのやり方を考えたり、実施してみることをどのくらい行っているのであろうか。確かに変化の時代の「はたらく」は、熟慮を伴うものであり、仕事のやり方の再検討を求めていると思う。
今回の話しあいは、学生には働くことを本格的に考える場になったし、そして大人にとっては働くことの見直しを行う場になったと思っている。そこで、「職欲」は学生の成長支援だけでなく、大人メンターに対する啓発にも役立ったのではないかと評価している。今回のテーマは経営学研究のなかでは、「モチベーション論」に主に関連しており、部分的には「リーダーシップ論」にかかわっていた。前者はワーク・モチベーションともいわれ、なんのために人は働くのか、どうして人は働くのかを、後者はマネジャーの部下への対応のしかたをとり扱ってきた。
アイスブレイクやワールド・カフェでは大人メンターは各自の仕事(ワーク、ジョブ)の話を行っていたが、個人発表では前述の「考えぬく」を除けば、ほとんど話がなかったように思われる。その点では、自分の仕事のやり方や今後の展望などが発表されるともっとよかったのではないかと考えている。
すべてが終わったあと、約30名の学生と大人が集まってパーティが行われ、大きな盛りあがりをみせていた。ここでも、いい交流が行われていたのである。参加者全員に感謝して乾杯した。 [2015.1.3]
- 開催日2014年12月22日
- 場所
- 時間
- 費用