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【セミナー誌上企画】第4回<4.SDGsに取り組んでいると言っていいのはどんな時?>

【セミナー誌上企画】第4回<4.SDGsに取り組んでいると言っていいのはどんな時?>
・前回、SDGsはCSRのテーマ集であり、社会性戦略として取り組むべきであると述べた。社会課題の解決を目指した取り組みを継続するためには、企業にとっても何らかの意味がある必要がある。
・では、具体的にどのように取り組みを進めていけばよいのであろうか?
・SDGsに関しては、『SDG Compass』という文書がある。企業向けの指南書である。表紙も入れて30ページほどの文書であるが、SDGsとは何か、どのような社会的意義があるか、企業にとってどのようなメリットがあるか、どのような手続きでSDGsの取り組みを進めたらよいか、などが書かれており、簡単ではあるが戦略構築のエッセンスも散見される。
・『SDG Compass』は、Webで公開されており、pdf形式で誰でも閲覧・ダウンロードできる。もちろん、日本語版もある。URLを貼り付けると長くなるので、検索サイトで上記の文書名を入力して検索すればすぐにヒットする。
・ただ、中小企業には、分かりにくいような気がする。大企業の経営企画室であれば専従の担当者もいるであろうが、もう少し噛み砕くか、戦略化の過程を簡易化して示す必要があるように思われる。SDGsは、中小企業も含めてすべての人や組織が取り組むことに意義がある。それを促す工夫が必要である。
・例えば、17の目標、169のターゲットすべてに取り組む必要はない。それは、上記の文書にも記されている。自社にとって戦略的意味のある領域で取り組めばよい。問題は、何をもって「取り組んでいる」と言えるのかである。17のテーマに沿いそうなものであれば、何でもよいわけではない。
・会社の敷地の空きスペースに植木鉢を置けば「15陸の豊かさも守ろう」になるわけではないのだ。何がポイントかというと、ターゲットに貢献できているかどうかであり、貢献度を数値などで説明できることが必要である。たとえば、森林回復の植林事業に参加し、一定の面積の森林を回復させている場合、「15.2 2020年までに、あらゆる種類の森林の持続可能な経営の実施を促進し、森林減少を阻止し、劣化した森林を回復し、世界全体で新規植林及び再植林を大幅に増加させる」に貢献していることになる。
・最近、実態を伴わないケースを「SDGsウォッシュ」として批判する声が聞こえるが、悪意だけでウォッシュが生じているわけではないように思う。どうであれば取り組んでいることになるのかを、豊富な例示で分かりやすく説明できていれば、避けられたのではないだろうか。(第4回/10回連載)

           永続的成長企業ネットワーク 理事
横浜市立大学教授   影山摩子弥

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Information
  • 開催日2019年10月10日
  • 場所
  • 時間
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