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【セミナー誌上企画】第3回<3.なぜ、企業にとってSDGsが重要なのか?

【セミナー誌上企画】第3回<3.なぜ、企業にとってSDGsが重要なのか?>
・前回、ターゲットについて説明した。すでに、ピンときた方もいらっしゃると思うが、SDGsは、企業からすれば「CSRのテーマ集」と言ってよい。
・前回、目標8では、「経済成長」や「中小零細企業の設立や成長」がターゲットに含まれていることを解説した。SDGsは、企業にもメリットがあることが容易にわかるであろう。その他にも、「7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに」で、効率の良いクリーンエネルギー技術を開発すれば、企業の収益に結び付くであろうことが想像できる。しかし、それだけではない。貧困や飢餓、ディーセントワーク、障がい者雇用、人権問題、環境問題といった社会課題に取り組むことは、企業にとってのメリット(収益、顧客の評価、従業員のやる気、新製品の開発などなど)を生む可能性がある。社会課題に取り組むことによって経営上の効果を引き出す取り組みを、私は「社会性戦略」と呼んでいるが、SDGsは社会性戦略のネタなのである。企業にとっての意味についてもう少し敷衍しておこう。
・グローバルに活躍する大企業にとって、世界に散らばるステークホルダーの関心事はあまりに多様である。すべてに応えることはできない。しかし、国連がSDGsという形で最大公約数を提示してくれたのである。SDGsに取り組んでいれば、世界共通の課題に応えていると説明できる。
・また、マイケル・ポーターのCSV(Creating Shared Value)をソーシャル・ビジネス(SB)の話と解している向きもあるが、CSV以降、新たなビジネス領域としてSBに着目する企業が増えた。しかし、社会課題は無限にあり、事業化は簡単ではないし、ビジネスとしての効果を上げるためには、社会的意義の大きな課題に取り組む必要がある。その中で、重要な課題を絞り込んで国連が示してくれたのである。
・さらに、中小企業にとっても意味がある。顧客企業のサプライチェーンマネジメント(SCM)に対応できるのである。SDGsへの取り組みを以て水準の高さを示すこともできるし、顧客企業が取り組んでいるSDGsとの対応を示しやすい。
・さらに、自社が世界の課題に貢献していることを社員が実感できれば、会社に対する求心力や仕事に対するモチベーションが上がる可能性が高い。
SDGsは、CSRであり、その中でも特に社会性戦略の面が大きい。それを理解して取り組みを進めることが重要である。(第3回/10回連載)

           永続的成長企業ネットワーク 理事
横浜市立大学教授   影山摩子弥

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  • 開催日2019年9月25日
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