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【セミナー誌上企画】第2回<2.下位目標としてのターゲット>

【セミナー誌上企画】第2回<2.下位目標としてのターゲット>
・前回、SDGsの17の目標を紹介したが、あまりにもおおざっぱである。たとえば、1が「貧困をなくそう」だった。第3世界の貧困が頭に浮かぶ方も多いであろう。しかし、日本の社会問題として、「こどもの貧困」という言葉をお聞きになったことがあるだろう。生活保護家庭も少なくない。貧困は第3世界の問題だけではないのである。このように、どの目標も、様々な現実とかかわりがある。それにどのように取り組んだらよいのであろうか?自分でテーマを見つけるということであろうか?
・いやいやそうではない。それぞれの目標には、目標の内容を具体的に示したターゲットと呼ばれる下位区分(下位目標)が、それぞれ5~19設定されており、全部で169ある。例えば、「1貧困をなくそう」には、7つのターゲットがあり、その1番目は、「2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる」である。この原稿を書いている時点での為替レートは、1ドル106円弱であるから、1.25ドル未満ということは132円程度である。しかし、そうなると、極めて特殊な条件が整わなければ日本での該当者は、限られるであろう。社会問題化している「こどもの貧困」には対処できそうもない。
・しかし、2番目が、「2030年までに、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある、全ての年齢の男性、女性、子供の割合を半減させる」である。日本における定義に即して貧困に取り組むことが可能となる。それぞれの国の事情は異なるわけであるから、それに合わせた取り組みが必要であり、それが考慮されているのである。
・また、「8働きがいも経済成長も」は、12のターゲットから成る。1番目は、「各国の状況に応じて、一人当たり経済成長率を持続させる。特に後発開発途上国は少なくとも年率7%の成長率を保つ」であり、3番目は、「生産活動や適切な雇用創出、起業、創造性及びイノベーションを支援する開発重視型の政策を促進するとともに、金融サービスへのアクセス改善などを通じて中小零細企業の設立や成長を奨励する」である。社会課題・福祉課題への取り組みだけを挙げていると、企業や一部の裕福な者にとっては、自分たちにメリットがないことに一方的に協力させられているように見えてしまう。しかも、前回述べたように、成長がなければ、環境保全も社会の維持もできない。よく考えられているのである。(第2回/10回連載)

           永続的成長企業ネットワーク 理事
横浜市立大学教授   影山摩子弥

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Information
  • 開催日2019年9月10日
  • 場所
  • 時間
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