【セミナー特別企画】第61回 <人生100年時代へのヒント:長寿者/百寿者のことば・生き方(61)> スズキ相談役・鈴木修さん(91歳)の生き方
【セミナー特別企画】第61回
<人生100年時代へのヒント:長寿者/百寿者のことば・生き方(61)>
スズキ相談役・鈴木修さん(91歳)の生き方
・生き抜くことが人生。
・人間が生き抜くために仕事はある。仕事は私にとって呼吸なのです。
・挑戦を続けることが健康の源なのでしょうね。
・『私の年齢は7掛け』と言い続けてきましたが、今も心身ともに健康です。
・生涯現役の気構えでいます。生き抜くという道に終点はありません。
・好き嫌いはありません。肉料理をよく食べますね。
・「生涯現役」がありのままの姿。
[今回は、91歳のスズキ相談役、鈴木修さんの生き方を取り上げる]
――――<以下日本経済新聞記事(2021年8月27日)より>―――――――
・スズキを40年以上トップとして率いてきた鈴木修さん(91)が、6月の株主総会で会長から相談役に退いた。他社に先駆けてインド進出を果たし、世界の自動車大手に飛躍する礎を築いた大御所は「生涯現役」を唱え、走り続けてきた。相談役となった今も「仕事は呼吸することと同じだ」と、気構えは変わっていない。
挑戦を続けることが健康の源
――昨今「人生100年時代」と言われます。まさにそれを地で行く人生ですね。
「当たり前の話ですから。生き抜くということが重要なのではないでしょうか。人間が生き抜くために仕事はある。仕事は私にとって呼吸なのです。それくらい自然なことです」
「鈴木自動車工業(現スズキ)のオーナー一族である鈴木家の一員になり、当社に入社しました。『会社を潰してはならない』、そして『会社の発展、これが人生』と思い、ひたすら走り続けてきた。挑戦を続けることが健康の源なのでしょうね。『私の年齢は7掛け』と言い続けてきましたが、今も心身ともに健康です」
次の10年、社会貢献を追求
――経営の最前線から退いて、戸惑いや気持ちの変化などは。
「楽しいですよ。人生100年と考えればまだ10年もある。卒寿(90歳)を迎えて、これからの10年は社会に貢献するためにどうあるべきかを追い求めていきたい。退任はしましたが、生涯現役の気構えでいます。生き抜くという道に終点はありません」
「スズキについては、社会に受け入れられる模範的な会社であるよう見守り続けていきたいと思っています。相談役の私に指揮命令権はありませんが、相談を受けますし、正すべき点があれば正々堂々と正論をぶつけていきますよ」
――食事に気を配っているところはありますか。
「好き嫌いはありません。肉料理をよく食べますね。浜松の名物であるギョーザも好物です。ギョーザは素朴でいて、スタミナがつきますから。米国での海外駐在時代などは、手作りして同僚に振る舞うこともありました。お気に入りは本社近くのお店のギョーザ。柔らかめの皮が好きです」
――自動車の運転免許はいまもお持ちですか。
「80過ぎまで持っていましたが、すでに返納しています」
「ピンピンコロリ」が理想的
――老い、そして生と死についてはどう考えていますか。
「生き抜くことが人生という考え方ですから、そのためには老いていくなか、いつまでも健康でいたいと思います。夕刻にご飯を食べて眠り、朝になったら冷たくなっていたというような『ピンピンコロリ』が理想的です」
「生と死を区別することには異論があります。精神は永遠に生き続けると思っています。私のお墓は生きているうちにつくりました。精神は身体の代わりにお墓に宿り、生き続ける。死を恐れることなんてありませんよ」
「生涯現役」がありのままの姿
・インタビューに先駆けて当日の朝、鈴木さんに会う機会があった。最近は少しカジュアルな装いが増えており、その朝も半袖のシャツと季節を感じさせる服装だった。撮影は「普段どおり、少しカジュアルな服装で」とお願いしていたので、意をくんでいただけたのだろう。すっかりそう思い込んでいた。
・だが、本社で会った姿をみてハッとした。長袖のワイシャツに、ネクタイをしっかり締めて現れたのだ。トレードマークの赤ペンを胸ポケットに挿して。「生涯現役」を公言してきた鈴木さんの気構えは、少しも衰えていないと感じさせた。まさにそれがありのままの姿なのだろう。
・すずき・おさむ 1930年、岐阜県生まれ。中央大学法学部卒業。58年に鈴木自動車工業(現スズキ)の2代目社長、鈴木俊三氏の娘婿となり入社。78年の社長就任後、トップとして同社を率いて「軽自動車の雄」としての地位を固めた。現在の屋台骨であるインド市場も開拓し、年間売上高は社長就任時の10倍以上の3兆円超に引き上げた(三浦秀行撮影)
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- 開催日2024年7月25日
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