【セミナー特別企画】第59回 <人生100年時代へのヒント:長寿者/百寿者のことば・生き方(59)> ジーン・D・コーエン『なぜあの人はかくも元気なのか?―新しい生き方を見つける10の扉』光文社 2001年
【セミナー特別企画】第59回
<人生100年時代へのヒント:長寿者/百寿者のことば・生き方(59)>
ジーン・D・コーエン『なぜあの人はかくも元気なのか?―新しい生き方を見つける10の扉』光文社 2001年
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著者
ジーン・D・コーエン:1945年生まれ。博士。ワシントンDCエイジング・センター初代所長、アメリカ老年学会会長などを歴任。現在は“ジョージ・ワシントン大学加齢・健康・人間性研究センター”所長をつとめ、健康管理学教授と精神医学教授を兼任。エイジングに関する国際的権威としてその方面の公共政策に多大の影響力を持ち、テレビなどにも登場して活発に発言している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたもの)。
内容説明
人生は後半こそ楽しい!アメリカの「エイジング」研究のパイオニア、コーエン博士が、世にはびこる悲観的エイジング論を嗤う。年を重ねても創造力は衰えない!老いても頭の働きは変わらない。
・ギリシャの悲劇詩人 ソフォクレスは、90歳で「コローノスのオイディプス」を書き、ロシアの抒情詩人 ポリス・パステルナークは、65歳で処女小説「ドクトル・ジバコ」を書いた。トマス・エジソンは、65歳でトーキー映画を世に出し、終生発明をつづけた。
・こうしたバイタリテイは、類希な才能に恵まれたせいではなく、有名無名を問わず誰にも洗剤する能力だ。体力は減退しても、人間の創造力は衰えることはない。
目次
第1章 「創造」の扉―クリエイティヴな魂は衰えない
第2章 「生命」の扉―生きることは老化へのステップではない
第3章 「意識」の扉―体験が心理的発見を促す
第4章 「時間」の扉―能力の発現には時の経過が不可欠
第5章 「関係」の扉―人間としての出発点
第6章 「癒し」の扉―心身を回復させるパワー
第7章 「再生」の扉―世代を超えて助け合う
第8章 「発見」の扉―自らのアイデンティティを確認する
第9章 「未来」の扉―延命を望むより、充足する人生を
第10章 「実践」の扉―日常生活における創造性
コーエン博士の言葉
・肝心なのは、いかに長生きするかではなく、いかに豊かな後半生を送るかである。
・人生は後半こそ楽しい!
・晩年こそ創造的であれ―創造性は晩年に入った人間の指揮を高める。創造性は年をとってからの体の健康に役立つ。創造性は人間関係を豊かにする。創造性は最大の遺産である。
――人が晩年に創造的であるということは、その子、孫,曾孫、そして社会全体にとっても老後にこんなことができるというこの上なく貴重な手本となる。
――年取ってからの人間的成長や自己表現の新たな可能性を開花させることができる。
・老後も成長し、生活を一変させる力が人間にはある。
・年代で来る段階
――60代から70代前半[解放段階] 人はこの頃にはもう、たとえ間違いを冒しても、周囲の自分に対するイメージが損なわれることはないし、ましてや自己イメージが損なわれるわけでもないとわかっていて、気楽に構える傾向がある。
――70代以上[要約段階] 生涯にわたって獲得した知恵や財産を自伝、回顧録、慈善行為、地域活動、ボランティア活動などを通じて分け与えるという「文化の守り手」の役割が演じられる。
――高齢期[アンコール段階] 人生を肯定し、未完の仕事を片付け、そして自らの貢献をたたえるために顕著で永続的な貢献をしたいという願望が創造性の発現を方向づける。
・「人生における唯一の目的は、何事にもせよ最善を尽くすことであって、そうすることにこそ生きる甲斐がある」(65歳で単独世界一周航海をした『ジプシーモス号航海記』のチチェスターの言葉)。
・エイジングが創造性発現の豊かな可能性をはらんでいて、たとえ新たな制約を課せられても、考え方を一新すれば、満足のいく形で人生を経験し続け、それに寄与し続けることができる。
・創造性とは、不安とか無力感のような否定的な感情を熱意や期待といった前向きの感情に刻々入れ替えることができる情緒的・知的作用—-一つのメカニズム――である。
・アメリカの偉大な画家、グランマ・モーゼスは、67歳のとき、刺繡を手がけ、78歳にして絵に本格的に打ち込むようになり、名声赫々たる画歴は百一歳まで続いた。
・グランマ・モーゼスの芸術家としての成長は老後に始まって時と共に変化する創造性を如実に示している。
・およそどんな形を取るにせよ創造性は私たちの人生における闇を払う力を持っている。
・世の中を変えたければ自分が変わらなければならない。
・高齢者たちの才能と創造性のある国家資源とみなすなら、その資源を涵養し、公共の利益のために活用するのが、我々社会の果たすべき課題である。
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・著者の言う潜在能力とは、人がさまざまなしがらみから自由になるある年齢に達したとき、年齢を問わず本来万人に備わる創造性と、蓄積された人生経験とが何らかの契機を得て結合し、一種の化学反応を起こして心身の活性化に驚異的な効果を上げる可能性のことである。
・創造性が機会を得て発揮されるためには、それを眠りから呼び覚ますなんらかの刺激を与える必要がある。・・・・、そういうことに目を向け、熱意をもって取り組むには時間的、経済的余裕と心理的、社会的自由がある程度保証されることが前提になり、高齢世代こそまさにその条件にぴったり合致する。
➽高齢者たち自身が「老い」について認識を新たにし、自身をもって前向きに生きれる。本書はこう主張しているのである。
Information
- 開催日2024年5月25日
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- 時間
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