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【セミナー特別企画】第28回 <人生100年時代へのヒント:長寿者/百寿者のことば・生き方㉘> 森村誠一『老いる意味』中公新書ラクレ2021年
【セミナー特別企画】第28回
<人生100年時代へのヒント:長寿者/百寿者のことば・生き方㉘>
森村誠一『老いる意味』中公新書ラクレ2021年
・森村誠一
1933年埼玉県熊谷市に生まれる、88歳。58年青山学院大学英米文学科卒業。69年『高層の死角』で江戸川乱歩賞、73年『腐蝕の構造』で日本推理作家協会賞、76年『人間の証明』で角川小説賞、2003年に日本ミステリー文学大賞、08年『小説道場』で加藤郁乎賞、一一年『悪道』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『新幹線殺人事件』『悪魔の飽食・三部作』『殺意の重奏』『人間の十字架』『新編平家物語』『煌く誉生』『太平記』『人間の条件』『炎の条件』『野性の条件』『魂の切影』など多数。)
内容紹介
・人間老いれば病気もするし悩み苦しむ。老人性うつ病を告白し克服した作家の壮絶な闘いの日々。老後は勇気をなくして乗り切れない。今までの人生の経験を凝縮して明日に立ち向かうのだ。老後の生き方の意味を提言する。
・森村氏は(2015年頃)老人性うつ病と認知症になり、3年ほど闘病していた。
・「言葉がでてこない」のはまさに作家の死を意味している。本当に必死だったのだろう。
・そんな苦悩の日々が生々しく綴られている。だが氏はけっして諦めることなく、回復の歩幅は短くとも少しずつ開路を見出す努力をし続けたのだった。
・そして「いつもの朝が戻ってきた」。
・並々ならぬ創作意欲と人間の生命力の凄み。1月で88歳米寿を迎えた氏はこれからも書き続けるのだろう。
・「余生は、余った人生などではない」のであり、まさに「重要な『人生の課題』」にほかならず、そして「老いて余生に寄り添うことが大切である」。
・「老いる」ことは避けられえないが、「老いる」ことから目をそらさずむしろしっかり受け止める。むしろ「老いる」をつうじて新たな人生の方向性が見定められる。
・氏のいう「老い」とはけっして後ろ向きの言葉ではないのだ。加えて「『生きていく緊張感』を失ってはいけないということだ」という。
・人生100年時代のなか、生きがいとやりがいを常に見出していくことで清新な気持ちを忘れえず、社会的接触を大事にしながら生きていく。
・簡単なことではない。ただ本書のメッセージは苦しい闘病体験をへての作品というもあって、実に明るく清々しい。
・「老いる」ことをとことん突き詰めて楽しんでいこうという気概が本書全体から如実に感じられる。
主な言葉
・余生は長い、「余った人生」ではなくなった。
・生半可な気持ちでは余生に向き合えない時代になっている。しかし私は、60歳、70歳といった年齢になってからこそが「本番」なのだとみなしてしまっていいのではないか。
・肉体の変化に気がつきはじめた頃、「心の若さ」だけは保たねばならないと思った。
・肉体というものは人間の心を入れる器でもある。心のメンテナンスをすることにより肉体の老化もある程度は食い止められるはずである。
・過去に目を向ければ、いまの自分がもっとも年老いているが、未来に目を向ければ、いまの自分がいちばん若いのである。まったく年齢には関係ない。
・最先端は「現在」という時間であり、そこには常にもっとも新しい自分がいる。
・常に人生途上の旅人である覚悟を持ちたい。無限の可能性に満ちた人生にしたいのである。
・老いのグループに入ることと、老化したかは別の問題である。若いグループに入るか、老いのグループに入るかは年齢の問題だが、老化しているかどうかには個人差、意識の差がある。
・過剰に老いを恐れず、永遠に自分の可能性を追求する姿勢を持っておく。社会の一員である意識を失わず、自分の理念をもって日々を楽しむ。そうしていれば時間の経過とともに先細りの人生になってしまうことはない。
・老後や余生とは、ある意味「ご褒美」のようなものである。できる限り、余生に寄り添っていきたい。
・私は百歳まで現役を続けるつもりである。生涯現役を貫くつもりだ。百歳まで生き続ける、ということも決意している。
・高齢者としていかに生きていけばいいのか。そういう心構えが問われる時代になっている。
・齢をとったら何もできなくなるのではなく、なんでもできるのである。病や老いに打ちのめされていることはない。病や老いに寄り添いながらも目線を高くして生きていきたい。
・高齢者は、三つの階層に分かれている。まず六十代。たとえていうなら「余生の年少組」。次が七十代。「余生の年中組」で、高齢者社会ではこの年代がいちばん力を持っている。そして八十代以上が「年長組」。さすがに八十歳を超えると、気力、体力ともに衰えてきて、人のことはとやかく言わなくなる。
・曲がり角になる七十代。七十代になると、失っていくものの多さが実感されてくる。体力、気力、記憶力、人脈などといったものがそうだ。そうした事実を受け止め、克服するのが七十代のテーマである。
・八十代になれば、身辺整理。お迎えが近いと感じたときから整理を始めればいいのだが、いつお迎えがくるかは分からない。八十代というのはそういう年齢だと理解しておかなければならない。
・六十代あたりから永遠の離別が増えてきた。老いていくというのは、孤独になっていくことである。悲しくはあっても、自然の摂理として受け入れなければならない。
・現役時代は自分なりに納得した人生が送れていて、退職してからも新しいことにチャレンジを続けてきた人は八十歳になっても情熱を保ち続ける。
・老いて重要なのは、何かをやり続けるようにして、張り合いをなくさないことである。
・目標をなくさず、未知に挑戦していく心もなくさないでいたい。
・人間はいくつになっても、新しいことを始められる。
・百歳まで元気で生きると自分で決めておき、百歳になったらそこでまた新しいことを始める。
・自分で「終わり」を決めつけてしまわない限り、人は楽しく生きて行ける。
・老いたら自分で歩くことを心がけるなどして、ふだんから身体を動かしておき、将来に介護が必要にならないようにしたい。
・人間老いれば、病気はするし、悩み苦しむ。老いれば他人にも迷惑をかけることもある。他人に助けてもらわないといけないことだらけだ。それが老いというものなのである。
・けれども何歳になっても夢は抱き続けられる。私は八十八歳になった今でもそう思うのである。
・ネバーギブアップ!
☞88歳、老人性うつ病を克服した著者の老いの生き方。著者は身をもって生き方をしめされている。まさに「人間はいくつになっても新しいことを始められる。少しだけの勇気があれば、夢は必ず叶うのである」。珠玉の言葉が満載の一冊といえます。
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Information
  • 開催日2021年10月25日
  • 場所
  • 時間
  • 費用