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【セミナー特別企画】第18回 <人生100年時代へのヒント:長寿者/百寿者のことば・生き方⑱> 宇野千代『私何だか死なないような気がするんですよ』海竜社 1995年
【セミナー特別企画】第18回
<人生100年時代へのヒント:長寿者/百寿者のことば・生き方⑱>
宇野千代『私何だか死なないような気がするんですよ』海竜社 1995年
宇野千代:1897(明治30)年、山口県岩国生れ。岩国高等女学校卒業。1921年処女作『脂粉の顔』が「時事新報」の懸賞小説で一等に当選。1922年上京、尾崎士郎や東郷青児との恋愛・同棲のあと1939年北原武夫と結婚、1964年離婚。1957年『おはん』で野間文芸賞、女流文学者賞を、1982年「透徹した文体で情念の世界を凝視しつづける強靱な作家精神」によって菊池寛賞を受賞。著書に『色ざんげ』『風の音』『雨の音』など多数。現役の最長老作家として、本書出版の翌年1996年6月10日急性肺炎で死去。
・内容説明
「陽気は美徳、陰気は悪徳」「年を重ねてこそ人生の花は咲く」「粗食を腹八分目。これ以上、完璧な食べ方があろうか」―白寿を前に、健康の秘訣・楽しい生き方についてユーモアをちりばめ語った282の奇知に富む箴言。なにげなく語る一言一言が心にしみて「楽しく、美しく、老いる」勇気が身についてくる。宇野千代からの最後の伝言。
一番健康法に固執したのは60代、70代の頃。今は自然のまま、あるがままに過ごしています。そう、近頃ふと思うのですが、私、何だか死なないような気がするんですよ…。生き上手な百歳の作家の知恵の言葉。
・目次
私は百歳、今を生きています
人間のすべてのもとは心である
私の積極的養生法
死ぬそのときまで愉しいことを思い浮かべて生きる
暮らしの中に長生きの秘訣がある
よい気はよい気を呼ぶ
自然体に生きることが健康に生きること
・「長生きの秘訣は何ですか」と尋ねられると、私は「特別にすぐ効く秘訣があるわけではありませんが、その日、そのときをただただ夢中になって生きてきただけです。鳥のように、虫のように、自然にね」
・老齢も病気も私の人生です。病むということも、生きて行く上での一つの経験として、十分に味わい、愉しんでいきたいのです。
・百歳近い年齢になってくると、肉体的な衰えはいやというほど思い知らされる。思うように体が動かない。しかし、私はそれを気にしない。大切なのは、衰えたところに目をやってため息をつくことではなく、まだ衰えていないところがあることを感謝しながら日々生きることです。
・老齢になって、私は、背中が丸くなりました。痩せて体力も衰えました。それが歳を取るということなのですね。私はそれを当然のこととして受け止めています。
・老いというものを素直に受け入れ、無理のない生活をしています。人様の手の必要な時はお借りします。これもまた、自然な人間の姿の一つであると思っているのです。
・人間が歳を取るということは自然に一歩ずつ近づくことなのかもしれません。我が少しずつなくなって執着が取れていくのですね。何事でもあるがままに受け入れることの何という安らぎ。
・高齢になったら、七十歳は七十歳の生活。八十歳は八十歳の生活。九十歳は九十歳の生活をするべきだと思います。自然に即した生き方に無理はありません。
・実は、自然体で生きると言うのは、最も簡単そうで、最も幸福なのです。
・楽しみにあふれた人生とは、楽しく考え、楽しく行動する人生だと私は信じているのです。
・養生とはつまるところ、心を平静に保つこと、平常心がその核心であろうと思われます。すべては心からはじまるのです。
・平常心とは、常に平らかな心でいると言う・・・いつでも静かで平らかな気持ちで暮らしていくことです。執着から解き放たれることです。その境地で暮らして行けば長生きをし、楽な死に方ができると言うのです。
・人間はどんな事でも、慣れれば平気になれるものなのです。百歳近くになった今では、聞こえないのもまた、それほど不自由ではなくなってのですから不思議なことです。
・ないものねだりをして、老い、を嘆かないことです。
・自分のまわりの人に対して、あまり多くのことを期待しなければいいのです。他人が、自分の思う通りに動いてくれない時に生まれるのがストレスだからです。
・悩みや心配事から解放されるコツはこだわらないこと、これ一つです。ないと思えばないのです。
・その瞬間瞬間が人生なのであった。私は人生に一切の悔いがない。
・忘れるということは新しく始めるということです。心を空っぽにするから新しい経験を入れることができるのです。いくつになっても人生は今日が始まりである。
・人間は生き甲斐を失っては生きて行けない。生き甲斐は与えられるものではない。定年になり仕事を失っても自分なりの生き甲斐を生涯持ちつづけなければならない。
・人間の気力こそ、病を治す最良の薬ということなのでしょう。
・人間は九十七歳になっても、百歳になってもあきらめずに、挑戦することが愉しく生きる秘訣なのです。
・「私は生きている」という発想から、「私は生かされている」という発想に転換する時、周囲を取り巻く自然の不思議さ、ありがたさに気づくはずである。
・どんな時にでも、ものごとをすべて肯定する習慣くらい、人間にとって幸福で健全なことはない、と私は思うのです。
・幸福とは、人が生きて行く力のもとになることだ。
・幸福は幸福を呼ぶ。
・感謝するということを忘れたら、たちまち幸福は逃げて行ってしまいます。
・笑顔は心に憂いがなく、体が健康であることの証拠なのです。
・「自然流で生きる」ということが実行できるようになったら、それは長生きの免許を手にしたようなものだ。
▣珠玉の言葉がつまった本書は、70歳からの生き方におおいに参考となる一冊。今、巷では高齢者の書籍を多数目にするが、70歳、80歳を経ての百年の経験は教わることが多い。幸福な人生、幸福な老後を考える道標となると思う。(選:吉田正博)132816697_3887536557937402_6323891845161842837_n
Information
  • 開催日2020年12月25日
  • 場所
  • 時間
  • 費用