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誌上テーマ別サロン】第28回 <基礎講座>  スモール・ビジネスにおける“スモール”とは?(2)

【誌上テーマ別サロン】第28回
<基礎講座>
スモール・ビジネスにおける“スモール”とは?(2)
―「中小企業経営学入門」(28)―

1 「スモール・ビジネスマン」の意味
・スモール・ビジネスマン(small businessman)という言葉がある。ささやかな商売(取引)を行っている人間のことを意味している。ささやかということは、少ないとか、ちょっとしただけの成果(売上高など)しかないことであり、目立たない程度であることをさしている。
・常時できる普通のやり方で行っているとすれば、この目立たない程度であり、大きな取引や売上高をあげることはできない。宣伝広告を行い同業の業者よりも価格面で相当安く売るとか、これまでなかったようなものを比較的安価でセールスする場合には、予想以上の成果を得ることができるかもしれない。あるいは、まったく予期していなかったが売れてしまったということもあるかもしれない。
・しかし、いい状態はそんなに長くつづくことはないのが、ビジネスの世界である。“山あり、谷あり”で、いい状態は長くつづくことはなく、悪い状態に変わっていくのである。悪い状態が長くつづけば、企業としての存続はむずかしくなる。悪いときをどのようにすごし、つぎの山をつくるようにしなければならない。だが、あまり大きな山をもとめると無理がどうしてもでてくる。そして、その反動で深い谷が待っており、破たんを招くかもしれない。
・その意味ではビジネスの持続的な発展を求めて、あまり高い山をもとめない経営こそが大切になるように思われる。前述した目立たない程度であるが、確実に成果をあげつづけていくことが必要なのである。スモール・ビジネスの経営の本質はここにある。

2 無理に大きくしたいと思わないことが生きる道!
・スモール・ビジネスにとっては無理に大きくしたいと思わないことが長く生きるための道なのである。確実にユーザーを増やし、ステイクホルダー(利害関係集団)を自社のファンにする経営こそが求めるものである。ユーザーやステイクホルダーの信用と愛顧を得ることにこそ専念すべきであり、その裏づけのない成長志向は結局のところ挫折するのであろう。

3 常時できる普通のやり方の実践を!
・常時できる普通のやり方を励行して、ユーザーやステイクホルダーの信用と愛顧を得るという努力が大切である。それでは大きな成果を獲得できないかもしれないがスモール・ビジネスの生きる道である。“運・鈍・根”の鈍ではないが、ただただ愚直に徹して顧客の目線に立ったビジネスを実践し、信用と愛顧を得ることに専念すべきである。それによって、道は開かれることになる。

永続的成長企業ネットワーク 理事
横浜市立大学名誉教授  斎藤毅憲

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  • 開催日2017年1月5日
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