訪問型サロン】(第3回)
<Yokohama Excellent Company (YEC) 第3回>
『㈱協進印刷の江森克治社長に聞く』(その1)
1 日 時 2016年5月11日
2 場 所 ㈱協進印刷本社
3 聞き手 永続的成長企業ネットワーク代表理事 吉田正博
々 理事 斎藤毅憲(文責)
4 内 容 以下の通り
・2016(平成28)年5月11日、JR大口駅西口から数分のところにある神奈川区大口仲町の本社を訪問して、江森社長に、その経営をうかがった。CSR(企業の社会的責任)の分野では横浜だけでなく、全国的にも知られた経営者であり、CSRによって経営の新しい地平を開拓しようとしていることは高く評価したいと思っている。しかも、21世紀に入ってからの印刷業者は、かつてないほどのきびしい環境のなかでの経営を強いられてきたことがよく知られているが、それに耐えうる企業づくりにまい進されており、敬服の一語に尽きるといわざるをえない。
・3代目の後継経営者として 社歴は半世紀を越えるという。祖父、父親のあとを継いで、3代目社長になって約10年が経過している。このうち前半の5年間は大変であったという。大学はビジネス系学部で、管理会計とコンピュータによる情報処理を学習した社長は、卒業後は大手電機会社に勤務し、3年間をSE(システム・エンジニア)として活躍されている。この勤務経験は、その後の社長の仕事やキャリアにも有効に役立っているという。
・後継者になるべく、社業に従事して20年がたち、後年の10年間が社長として直接に経営にあたっていることになる。しかし、この10年間は、のちに述べるが、まさに“大変”の時代であった。
・さて、社名の「協進」には、設立時の創業者の思いや願いが入っているのであろうが、具体的に協進になった経緯については社長も必ずしも明確に知っているわけではないという。ステイクホルダー(利害関係集団)と協同して、協力して発展・進歩していくという意味であり、社長もコラボレーションという言葉をお話しされていた。要するに、社名はきわめて現代的なものといえよう。
・“大変”の時代の印刷業界
・21世紀に入ってから、印刷業界はまさに“大変”の時代であるという。全国に約1万社あったこの業界の企業数は半分にまでに減少し、まだ減っていくと予測されている。神奈川県印刷工業組合の組合員数も約500社があったが、現在では200社を切ってしまっており、さらに減少していくと考えられている。要するに、従業員規模が20名以下の小規模企業が多いが印刷業界の衰退が世紀が変わってから、急速に進んでいるという。
・衰退の理由は、いろいろあるだろう。売上高があがらない、顧客が減少している、後継者や人材がいない、などが現象的には顕著になっているのであろうが、IT系を中心としたテクノロジーの発展によって、専門の印刷業者がなくても、だれもが印刷ができるようなベースがつくられるようになったという背景がある。かつて顧客(クライアント)であった人びとや組織(企業、行政、団体)がみずから印刷できる状態になってしまったのであり、かなりあったニーズは印刷業者を不要にしてきた。
・これは、まさに“大変”である。これまでの印刷業者でいるかぎりでは、存続はきわめてむずかしい。社長の就任以来、このような環境のなかで、まさに経営を行ってきたと述べている。それは、なにもしなければ遅かれ早かれ淘汰されてしまうような状況である。
[以上 (その1)/3回連載]
[2016.6.21]
- 開催日2016年6月21日
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