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【誌上テーマ別サロン】(第8回)

【誌上テーマ別サロン】(第8回)
<基礎講座>
CSR経営をしているスモール・ビジネス
―「中小企業経営学入門」(8)

1 CSR重視が原点のスモール・ビジネス
・前回、スモール・ビジネスは「地域(ローカル)企業」であり、地域に密着していることを述べた。この地域密着性は、別の言葉でいうとスモール・ビジネスがCSR(企業の社会的責任、Corporate Social Responsibility)を重視した経営を行っていることを意味している。
・CSRといえば、どちらかというと大企業の問題であり、小さな企業には関係がないように思われているかもしれない。大企業はCSR報告書や環境報告書を毎年作成し、CSRに関する担当組織と人材をかかえており、CSRは大企業の専売特許であると考えられる。確かに、スモール・ビジネスは報告書をつくっているところは少なく、担当組織を設置している企業はわずかにすぎないので、現象的にみると、スモール・ビジネスにCSRは無縁にみえる。
・しかし、地域密着のスモール・ビジネスこそ、CSRを行ってきたといえる。地域の人材を雇用し、かれらを大切にとり扱うとともに、地域の取引業者や消費者にも誠実に対応している。また、地域の行うイベントなどにも参加し、協力をおしまないのである。このイベントへの参加を通じて、まちづくりに確実に貢献している。要するに、小さな企業は地域の信頼をベースにしたCSR重視の経営を展開しているのである。

2 横浜型地域貢献企業への関心
・このようなスモール・ビジネスのCSRに関していえば、たとえば「横浜型地域貢献企業」の表彰制度が興味深い。横浜企業経営支援財団(IDEC)と横浜市が行っているこの制度は、小さな企業のCSRを考えるうえで参考になる。そして、これと同じような制度を設けている地方自治体の活動にも注目したい。

3 スモール・ビジネス経営者の2面性
・スモール・ビジネスのCSRを考えてみてわかってくることは、スモール・ビジネスの経営者が、①「地域経済の担い手」として地域の経済に役立っていること、②まちづくりにもかかわることで、「地域社会のリーダー」になっていること、である。しかし、企業経営がうまくいっていないと、地域社会のリーダーとしての役割は十分に果たすことができないことも事実である。

永続的成長企業ネットワーク 理事
横浜市立大学名誉教授  斎藤毅憲
[2015.6.8]

Information
  • 開催日2015年6月9日
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