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【誌上テーマ別サロン】第97回 <基礎講座>   地域密着のベイカリーの経営 ―「中小企業経営学入門」(97)―
【誌上テーマ別サロン】第97回
<基礎講座>
  地域密着のベイカリーの経営
―「中小企業経営学入門」(97)―
1 個性を競いあうベイカリーの発展
・パン食が増加してきたために、ベイカリーつまりパンの製造・販売業者が成長してきた。ご飯(米食)のウェイトが低下し、主食としてパンを食べることも普及し、一般的になっている。
・このように、日本人の食生活は変化してきたので、「まちのパン屋」ともいうべき地域に密着した小規模のベイカリーが発展し、競いあっている。そして、それぞれの店舗は顧客をとりこむために、特色をだし、個性を打ちだそうとしている。
2 横浜・戸塚の「ぷちらぱん」
・横浜市の戸塚区にある同社は、創業して20年がたつが、「食パン」づくりにこだわっている。ロールパンなどとともに、食パンの代表となる四角い食パンは、パン屋だけでなく、スーパーマーケットやコンビニなどどこでも購入できるから、おいしいものをつくるのだという。
・和食のご飯と同じように、「食パンはあきることなく、毎日、安心して食べられることが大切である」ことをコンセプトに、品質のよいパン生地を材料にして、小麦粉、イースト(酵母菌)、塩、水以外のものはできるだけ加えないで製造している。欧米人とちがって日本人はダエキの量が少ないので、「やわらかく、もっちりとした食感」を好むといわれ、このような日本人にあわせたものにしている。ご飯と同じように、「食パンは、名脇役である」をモットーに、地域密着を重視し地元の高い評価をうけている。
3 特徴のある商品をアピールする!
・東京都江東区森下にあるカトレアは、明治10(1877)年に「名花堂」の店名で創業した、いわゆるまちのパン屋である。関東大震災で店舗が全焼したために、再建にはヒット商品が必要となり、カレーライスやカツレツをパンに入れ、「洋食パン」として開発・発売し、人気を博している。
・だれにでも愛されるシンプルで、やさしい味がその理由で、現在では「元祖カレーパン」の名で、同社のロング・セラー(長寿商品)になっている。東京の下町では、しゃれたパンよりもカレーパンやあんパンなどの定番商品のほうが消費者には人気がある。
・また、神奈川県横須賀市浦賀の「パン市場はまだぶんてん(浜田分店)」は大正3(1914)年、(株)ハマダから、のれん分けで創業している。当時は浦賀ドックで働く人びとをメインの顧客にしていたが、現在で地元のパン屋として、あんパンやメロンパンのほか、丸くて、柔らかい、甘い「よこすかフランス」や願いが叶うという地元の「叶神社」にちなんだ叶ラスクや叶あんパンなどで好評を博している。そして、店の改装を機に洋風居酒屋を営業できるようにもしている。
(2018.10.2稿)
           永続的成長企業ネットワーク 理事
           横浜市立大学名誉教授  斎藤毅憲
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  • 開催日2021年8月20日
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