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【誌上テーマ別サロン】第90回 <基礎講座>   長寿スモール・ビジネスに学ぶ ―「中小企業経営学入門」(90)―
【誌上テーマ別サロン】第90回
<基礎講座>
  長寿スモール・ビジネスに学ぶ
―「中小企業経営学入門」(90)―
1 長く生き残ってきたスモール・ビジネスへの関心
・現在まで生き残ってきたスモール・ビジネスに学ぶことが大切である。同族関係者を中心にして、少数の人びとの活動によるスモール・ビジネスが、「100年企業」のように長い期間にわたって生きつづけてきたことには、それなりの理由があると思われる。
・スモール・ビジネスの多くは、短命に終わるが、長寿をむかえる前には、難問というべきチャレンジにいくどとなく直面してきたはずである。そして、チャレンジを克服できなければ、生きつづけることはとうていできなかったと思われる。
・たとえ、チャレンジを克服できたとしても、再び時間をおかずに新たなチャレンジに対面するものなのかもしれない。おそらくひとつをクリアすると、また新たな難問が発生すると考えたほうがよい。
・ビジネスに、はたして平穏なときなどあるのであろうか。おそらく順調にビジネスを行っているときが、そのようなときであろうが、しかしそのようなときでさえも“小さな”難問は発生しているはずである。それらの小さなものをふくめた難問を解決しつづけることで、長寿企業になったと考えられる。
・とすれば、小規模であっても長く生きつづけてきた周囲にある企業に関心を払い、そのような企業に学ぶという姿勢をもつことは大切である。あなたの周辺には、どのような長寿企業があるのでしょうか。
2 長寿スモール・ビジネスの知恵の発見
・100歳以上の高齢者が、わが国で約7万人近くいるといわれる。このような長寿者に、よく“どうして健康を保ってきたのですか”とか、“ながいきの秘訣はなんですか”などという質問が投げかけられる。
・いろいろな回答がでているが、比較的平穏な生活を送ってきて、ストレスの少ないケースが多いのかもしれない。そして、難問の発生が少ないと、ストレスが低く、ながいきにつながるように思われる。しかし、ストレスをものともせずに長寿になっている人もいる。
・したがって、ある種の共通性や特徴があるが、長寿の理由は必ずしも明確ではないかもしれない。これと同じように、長寿スモール・ビジネスのための知恵についても結局のところ明確な分析と結論を発見することはむずかしいように思われる。しかし、スモール・ビジネスの経営にかかわる人びとは、そのような知恵の発見に、これまで以上に関心を払わなければならない。
3 発見のための視点
・研究者はパーフェクトなベストの経営をもとめる傾向があるが、しかし、経営が少々不完全でも現実の企業は存続できるものである。病気をもっていても、ながいきする人は多い。要は、企業内部のバランスや環境適応が長寿の制約になるから、その視点を堅持していくことが大切であろう。
           (2018.9.28稿)
           永続的成長企業ネットワーク 理事
           横浜市立大学名誉教授  斎藤毅憲
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  • 開催日2021年4月20日
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