【誌上テーマ別サロン】第9回
<基礎講座>
「責任をとる経営」ができるスモール・ビジネス
―「中小企業経営学入門」(9)
1 経営者の責任は大きい
・企業の経営者であれば、規模の大小にかかわらず、その責任は大きい。企業が業績をあげて、存続し、さらに発展することは、経営者の意思決定によるところが大きい。間違った判断を行ったり、タイムリーに対応できなくなり、そのために経営がピンチに陥るとすれば、それは経営者の責任なのである。
・経済環境が悪くなると、経営者のなかには人員整理という合理化策をとる人びとがいる。自分の責任を問わず、従業員に責任を負わせようとしている。経営学のパイオニアになったテイラー(F.W.Taylor)によると、経営(マネジメント)という仕事は、従業員に仕事を割り当てるとともに、その仕事をしっかり行ってもらうために、動機づけをあたえなければならないことであるという。バブル経済崩壊後のリストラは、まさに経営者が責任をとらなかったことを意味している。
2 責任を取るスモール・ビジネスの経営者
・不祥事などが発生したときの大企業経営者の姿をテレビでよく見ることがある。ていねいにメディアの前で、あやまっているのであるが、本当に申し訳ないと思っているのか、若干不安になることがある。小さな企業であれば土下座でもしてあやまるのであるが、大企業経営者の場合頭はさげるがどのくらい責任を感じているのかと思うことがある。「私のやったことではない」とか「経営者の任から降りると免責される」ように考えていると感じられるのである。
・スモール・ビジネスの場合、経営者は会社のオーナーであり、会社は自分のものと思っていることが一般的なので、企業への思い入れは強く、不祥事は自分の犯したものと考えている。そこで、なんとか責任をとっていこうという気持ちになっている。
3 サラリーマン経営者に本当に責任がとれるのか
・大企業の経営者のほとんどは経営のプロであるが、雇われ型のサラリーマンである。オーナーではない。オーナーのような責任を感じて経営している大企業経営者も確かにいるであろうが、スモール・ビジネスの経営者の自分の会社への思い入れには及ばないのではないかと考えている。
永続的成長企業ネットワーク 理事
横浜市立大学名誉教授 斎藤毅憲
[2015.6.25]
- 開催日2015年6月25日
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