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【誌上テーマ別サロン】第74回 <基礎講座>   変化対応のイノベーション ―「中小企業経営学入門」(74)―

【誌上テーマ別サロン】第74回
<基礎講座>
変化対応のイノベーション
―「中小企業経営学入門」(74)―

1 「大津波」か、それとも「サーフィン」か
・企業をとりまく環境は、激しく変化している。この変化をどのように考えたらよいのであろうか。変化を悲観的にとらえると、いい例ではないかもしれないが、「大津波」にたとえることができる。変化を大津波と考えてしまうと、企業にとってはピンチになり、場合によっては存続を左右するようなダメージを与えるものになる。
・他方、楽観的にとらえると、変化に対応することで、企業に利益や発展をもたらすものとなる。それは波にうまく乗ることができるサーファーと同じであり、楽しいサーフィンになる。若いITベンチャーの経営者などは、まさしくこの事例となるのであろうか。

2 「アクセプト」のしかたが大切!
・ということになると、変化をどのようにうけとめるのか、つまりアクセプトのしかたが大切になる。変化を大変であると思いつつも、手をこまねいて、なにも対応しないのであれば、本当にダメージになってしまうが、なんとかしようと立ちあがるならば、楽しいサーフィンになるかもしれない。
・そして、変化に自社のチャンスを見いだし、積極的に打ってでるならば、企業にもたらすものは大きいであろう。とくに変化をうまく利用してイノベーションを起す経営者には大きな発展が期待される。
・このように同じ変化でも、そのとらえ方やうけとめ方によって対応は異なり、場合によってはピンチになったり、そして逆にイノベーションを起すこともできる。
・現在のわが国では少子化・高齢化そして地方の衰退などが進展している。これらの変化はおおむねネガティブに考えられ、きびしいピンチと見られている。しかし、それは本当なのであろうか。そして、チャンスはないのであろうか。チャンスの探索をかんたんに、あきらめてはならない。

3 「小さな変化」を見逃さない!
・激しい変化は、だれでも気づく。変化の影響が顕著にでるようになると、変化は実感できるので、だれでもわかるようになる。しかし、経営にあたる人間であれば、この段階になって、なにかをしようと対応しても、「時すでに遅し」であろう。イノベーションを起そうとするならば、環境ののなかの小さな変化に関心を払う必要がある。
・頭初から変化が目立つものもあるが、他方で徐々に進行して、大きな変化につながる場合もある。小さな変化がすべて大きな変化になるわけではないが日々の活動のなかで少しづつ感じつつも、多忙な業務のなかで無視されてしまう小さな変化を注意深く観察し、その背景に潜んでいる問題をしっかりとらえようとすることが大切である。
・そこには、生存のためにリスクを回避しようとする理性や論理を越えた動物的感覚も必要であり、それへの対応を考えるなかからイノベーションの源が生まれるであろう。
(2018.4.5稿)

永続的成長企業ネットワーク 理事
横浜市立大学名誉教授  斎藤毅憲

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  • 開催日2020年8月5日
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