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【誌上テーマ別サロン】第71回 <基礎講座>   経営力のアップによるイノベーション ―「中小企業経営学入門」(71)―

【誌上テーマ別サロン】第71回
<基礎講座>
経営力のアップによるイノベーション
―「中小企業経営学入門」(71)―

1 「経営者」こそがイノベーションをつくる!
・スモール・ビジネスでは経営者こそがイノベーションを創造できることを再確認することが大切である。すでに「スモール・ビジネスの存続モデル」を述べた際に、経営者のもつ「経営力」という考え方を示した。
・経営力とは、「経営姿勢」と「経営能力」のふたつからなり、前者は経営者の経営に対する意欲、熱意、チャレンジ精神、活動力など、経営者が取る態度の総合したものである。それは、ファイトあふれるエネルギッシュな経営者の姿勢である。
・他方、後者は経営者個人がもつ経営能力や経営上の経験などから得られたものであり、状況の把握力、判断力、人間関係能力、交渉力などの多様な能力要素が複合したものである。
・そして、経営の成果を得るためには、経営姿勢を前提に、経営能力が加わる必要があるとした。つまり、経営者としての「やる気」があってはじめて、経営能力が活かされるのである。

2 経営姿勢のアップとイノベーション
・みずからをふるいたたせ、経営姿勢をアップさせることは、企業経営を変えるイノベーションを生みだす条件になる。部下となる人的資源にも経営者のこの姿勢は直接伝わるから、部下のモチベーションはあがることになる。
・そして、経営者の企業経営を変えていきたいというイノベーションへの意欲が本気であるかどうかを部下となる人的資源は見ている。要するに、「本気度」が低ければ、部下のイノベーションへの思いは、高まることはなく、これまでどおりの現状維持でいいと判断してしまうのである。

3 「本気度」を発揮せよ!
・イノベーションへの意欲が本気であり、そのための経営文化つまりイノベーションを生じさせるような雰囲気をつくることが大切であるが、そのうえでどのような方向性や内容をもつイノベーションにしたいかの「大枠」を、部下の人的資源に提示する必要がある。
・なんでもいいからイノベーションに関する提案をさせることも悪くはないが、分野やテーマの大枠を決めて、それをめぐって検討させ、提案させることである。そして、すぐれた提案と思われるものについては実施に移し、そして成果をあげたものについては正当に評価し、報酬をプラスして支払う必要がある。
・スモール・ビジネスでは規模も小さく、人的資源も少ないので、方向性を示しても提案ができることはむずかしい可能性もある。そこで、経営者もみずから積極的に、提案づくりに参加することが必要となる。そして、環境変化のなかで新しさや変化を求める経営者であれば、イノベーションを起こせるであろう。ここでも、経営者の本気度が問われている。
(2018.4.5稿)

永続的成長企業ネットワーク 理事
横浜市立大学名誉教授  斎藤毅憲

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  • 開催日2020年6月20日
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