【誌上テーマ別サロン】(第7回)
<基礎講座>
地域に密着しているスモール・ビジネス
―「中小企業経営学入門」(7)
1 「地域(ローカル)企業」としてのスモール・ビジネス
・小さな企業は、特定の地域に住む人間が経営者または起業家として、その地域の資源を主に使って、その地域の人びとを重要なマーケット(顧客)にして、製品やサービスを提供している。原材料や部品の一部を他地域から調達したり、市場を国内の他地域や海外に求めている企業もあるが、特定の地域を拠点にして、その周辺が活動の主戦場になっている。
・これに対して、大多数の大企業は特定の地域にこだわって活動することはなく、チャンスがあるならばグローバルに(どこにでも)進出しようとしている。逆にいえば、チャンスが失われれば、進出した地域からの退去も行われることになる。この意思決定には、きびしい経済合理性が支配している。そこには、その後の地域の衰退に対する配慮はかけているように思われる。
2 “見える”ステイクホールダーの存在
・要するに、スモール・ビジネスとは、このように地域に密着して活動しており、「地域密着性」を特長とする「地域(ローカル)企業」なのである。この地域密着性に関連していえることは、ステイクホールダー(企業の利害関係集団)との関係も密接であったり、そうでなくてもよく知っているということである。つまり、地域企業とステイクホールダーとは相互に“よく見える”関係にある。地元の取引業者との間には信頼関係が形成されているし、消費者にも地域企業であることが知られている。
・そこで、いい製品やサービスを提供する、など望ましい活動を行うと、消費者などからじかに高い評価や評判を得ることになる。直接的に「ほめられる」ことは、地域企業にとって最大の信用やプライドになるとともに、そこで働く人びとのモチベーションの向上につながるのである。スモール・ビジネスとしての地域企業の“いいところ”はここにもある。
3 ステイクホールダーを大切に!
・逆にいうと、スモール・ビジネスはステイクホールダーと“ともに生きる”という共生(共存共栄)の心をもって経営することが大切である。直接「しかる」ことはあまりしないので、ステイクホールダーに悪いイメージをもたれると、企業としての生き残りがむずかしくなることをしっかり認識することが必要なのである。
永続的成長企業ネットワーク 理事
横浜市立大学名誉教授 斎藤毅憲
[2015.5.5]
- 開催日2015年5月5日
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