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【誌上テーマ別サロン】第69回 <基礎講座>   大M&A時代の到来:チャンスをつかめ! ―「中小企業経営学入門」(69)―

【誌上テーマ別サロン】第69回
<基礎講座>
大M&A時代の到来:チャンスをつかめ!
―「中小企業経営学入門」(69)―

1 大廃業時代への対応
・中小企業、小規模企業などのスモール・ビジネスが大量に廃業する時代が到来し、このままで推移すると、2025年には多くの雇用とGDPが失われるという。廃業するなかには、黒字経営であるが、後継者がいない企業も多く、それへの対応が求められている。国も、この状態をなんとかしなければならないと考え、このような企業を第3者に引き継ぐための支援に乗りだしはじめている。

2 「第3者承継」への期待と仲介料の負担
・親族や同族内での引き継ぎがむずかしく、また役員や従業員などのステイクホルダーへのそれも困難であるとすれば、まったくの他人である第3者への引き継ぎ、つまりM&Aにどうしても期待せざるをえない。
・大企業や中堅企業については、大手の証券会社、投資銀行、M&Aの仲介業者がこれまでもM&Aを仲介してきたが、仲介料は高額であるといわれてきた。確かに、M&Aは慎重に行わなければならないので、手間や時間がかかるので、仲介料はどうしても高くならざるをえない。
・大廃業時代の到来を前にして、現状では買う側も売る側も多数存在するようになっており、仲介料問題の解決が求められているが、中小企業や小規模企業の場合には、高額の仲介料が買う側にも売る側にも負担になっている。この仲介料負担というボトルネックがあるために、これらの企業のM&Aは、できにくかったのである。
・別の意味でいうと、これまでの仲介業者にとってみると、これらの企業のM&Aは、コストはかかるが、それに見合うほどの報酬が得られないので、とり扱いにくいものであった。

3 「マッチングサイト」によるスモール・ビジネスにおけるM&Aの推進
・このようななかで2016年4月に設立された(株)アストラッド(代表取締役社長 高橋聡)のM&Aマッチングサイト「トランビ(Tranbi)」というビジネスモデルには、大きな期待を寄せたい。
・これは、買う側と売る側が直接に交渉できるM&Aのためのプラットフォームである。つまり、オンライン上で両者をマッチングさせることで、仲介料の大幅な削減と時間の短縮化を可能にするモデルであり、これが普及・浸透するならば、だれでも容易にM&Aが可能になる時代が到来するのではないかと思われる。
・2011年にスタートしたトランビの利用実績は2015年までは、それほどの伸びでなかったが、2016年以降急速に成長している。これには、国が第3者への引き継ぎ支援に積極的になったことにもよるが、このような簡易なM&Aの出会い系サイトの発展にメリットを感じている利用者が増えていることを示していると考える。
・スモール・ビジネスの引き継ぎをしてくれる企業や個人が出現して、大廃業時代を乗り切っていくことが急務になっており、トランビのようなモデルの発展を期待したい。まずはhttp://www.tranbi.com/ をみてほしい。あなた個人やあなたの企業もM&Aが容易にできる時代が到来してきたことを実感できることでしょう。
(2018.2.20稿)

永続的成長企業ネットワーク 理事
横浜市立大学名誉教授  斎藤毅憲

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  • 開催日2020年5月20日
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