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【誌上テーマ別サロン】第68回 <基礎講座>   経営改善の意識をもとう! ―「中小企業経営学入門」(68)―

【誌上テーマ別サロン】第68回
<基礎講座>
経営改善の意識をもとう!
―「中小企業経営学入門」(68)―

1 問題意識のもつことの大切さ
・スモール・ビジネスの経営を展開していく場合に大切なのは、問題意識のもつことである。売上高があがらない、利益がでない、顧客ばなれが進んでいる、原材料価格が上昇している、競争がきびしい、大型店が周辺に進出した、ICT化に遅れている、など円滑な経営を阻害する要因が多様に指摘できる。しかし、それらのきびしい現実を前にして、それらをしっかり認識して、経営者としてどのような対応をとっているのであろうか。スモール・ビジネスにとって、おかれている環境はおおむねきびしく、恵まれたものではない。それにもかかわらず、なんとかしてがんばっていくのが、スモール・ビジネスの経営者であり、経営の「だいごみ」もまさにそこにある。

2 きびしい現実とその理由の探求を!
・きびしい現実を前にして、そこで立ち往生するのではなく、なぜそのような現実に直面して、経営が困難になっているかをしっかり考える必要がある。そして、問題はひとつではなく、複雑に錯綜しているかもしれない。まずは、その辺のところを解き明かしていく姿勢をもつことである。どのような現実があり、その理由はなにかを真剣に考えてみることである。
・自分だけで検討することがむずかしければ、社内のスタッフと意見交換を行うことも必要となる。この場合、経験の少ない若いスタッフに意見を聞いてみることもありうるだろう。経験のある人間は、これまでの実績や過去の事象にこだわり、激変している時代のトレンドを見落とすおそれがあるからである。「なんでもありの状況」では、いまだけを生きている若者の感覚のほうが正しいかもしれない。
・なお、社内だけで明らかにならないとすれば、外部の専門家の力をかりることも大切である。そして、自社内での分析と外部の専門家の知恵を結びつけて「問題と理由」を究明することになる。おそらくアウトサイダーは客観的に分析するから、場合によって自社内での分析を補足したり、修正する役割をはたすことができる。

3 「経営改善」のために知恵とエネルギーを!
・「問題と理由」が明らかになったら、この問題に対応したり、解決する方策を考えだし、それを実行に移していくことが求められる。現在、国の中小企業支援策のなかで外部専門家による「経営改善計画」の策定がある。経営者や社内で対応策や解決策を作成し、この経営改善計画の策定が必要であるが、社内でこれをつくることが困難であるならば、「問題と理由」の分析にかかわった外部のコンサルタントの力をかりることが大切になる。そして、改善計画をつくり、それを懸命に実行するのであり、これが経営なのである。そこで、なにもせずに、悲観的になるのは、経営とはいえない。新しいことを行うこと、変えることを恐れてはならないといいたい。
(2017.12.8稿)

永続的成長企業ネットワーク 理事
横浜市立大学名誉教授  斎藤毅憲

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  • 開催日2020年5月5日
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