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【誌上テーマ別サロン】第57回 <基礎講座>   スモール・ビジネスにおける経営力の強化 ―「中小企業経営学入門」(57)―

【誌上テーマ別サロン】第57回
<基礎講座>
スモール・ビジネスにおける経営力の強化
―「中小企業経営学入門」(57)―

1 マネジメント教育の重要性
・経営力の強化や充実がスモール・ビジネスの存続や成長にとって重要である。そのためには、一方で企業経験やマネジャーとしての活動体験が不可欠であるが、他方で大学(院)などの高等教育機関におけるマネジメント(経営)教育をうけることがあわせて大切になる。このマネジメント教育をうけると、受講者には情報収集力、状況把握力、分析力、判断力、プレゼン力などが養成され、いわゆる問題の発見・解決能力、意思決定能力が身につくようになる。それは、とりわけ経営姿勢と経営能力からなる経営力と対応させると、とくに経営能力の育成に役立つことであろう。
・国の施設である中小企業大学校の後継者育成のコースなどは、このようなマネジメント教育の場になっている。また、1990年代以降、その設立数を増やした日本型のビジネス・スクール(経営大学院)も、経営力の育成に役立つものと思っている。そして、これらは、とくに成長志向のスモール・ビジネスにとって有効である。もっとも、小規模企業で、人的にも財務的にも余裕がない企業には、人手が足りないとか、お金の支出ができないので、必ずしもフィットしているとは思われない。
・いずれにせよ、マネジメント教育をうけると、経営能力が育成されるようになり、自力で経営力が強化される。

2 経営のプロ人材の導入
・国は「経営のプロ」といわれる人材を中小企業や中堅企業が外部から導入して、成長のための改革を行うことをすすめている。経営者の自力による経営力の充実にかわって経営力を発揮してもらうわけであるが、経営のプロ人材を信頼できない場合には、せっかく外部導入したにもかかわらず、なかなか仕事を委任することがむずかしい。
・スモール・ビジネスにおいても現状を打破するのは困難である。そこで、経営力のある外部人材の活用は有益である。経営者が経営力をもっていないとか、改革の勇気がない場合には、この方法をとることが大切になる。
・もっとも、外部の経営人材の採用には、かなりの報酬を支払わなければならない。したがって、小規模企業には、これはあまり使えるとはいえない。

3 商工団体などによる伴走型支援
・小規模企業の経営力強化は、どのようにしたらよいのであろうか。経営者みずからの強化や外部人材の導入はむずかしいから、商工団体などの経営支援をうけることが大切になる。これらの団体には、中小企業診断士などの経営の専門家が配置されているので、これらの人材を積極的に活用して、経営力の強化をはかることができる。そして、国も小規模企業の振興について、伴走型支援を重視して、これを推進している。

永続的成長企業ネットワーク 理事
横浜市立大学名誉教授  斎藤毅憲

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  • 開催日2019年8月5日
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