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【誌上テーマ別サロン】第54回 <基礎講座>   無力型と成行き型のスモール・ビジネス ―「中小企業経営学入門」(54)―

【誌上テーマ別サロン】第54回
<基礎講座>
無力型と成行き型のスモール・ビジネス
―「中小企業経営学入門」(54)―

1 経営力が未熟なスモール・ビジネスの存在
・スモール・ビジネスには弱いというイメージがあるが、弱さの主な理由は経営力の不足とか、未熟さにあると考えるべきである。意欲的に起業したとか、先代までが育てあげてきた企業を承継したものの、経営力のレヴェルが低ければ、経営成果をあげることができないと考えられる。前述の存続モデルに対応させてみると、それは、C型とD 型のふたつが対象となる。
・C型は、経営成果も低い場合であり、当然の帰結といえるのである。このタイプは「無力型」ともいえるもので、このままの状態で進み、成果が落ちこんでいくとすれば、撤退や廃業あるいは倒産のおそれもでてくる。
・景気や業況など、環境が改善されて、D型になる可能性も当然のことながらあるが、経営力がないので、長つづきするとは思われない。また、A型やB型への転換も現状のままでは困難である。経営者が経営力をみずからつけるべきであると自覚し、そのための意識改革でもしないかぎり転換にカジをとることができない。それが現実であろう。

2「成行き型」から「無力型」へのおそれ
・経営力は低いものの、経営成果はそこそこあがっている場合があるというのはD型であり、成行きでなんとか収益などがあがっているタイプである。しかし、これがA型の経営力も経営成果も高いタイプに転換する可能性は少ない。C型と同じように、経営者が経営力をつけることを決意し、それを実際に行うことが必要となる。そして、経営力をつける努力を行っても、まずB型への移行の可能性のほうが多いであろう。
・現状では、経営力が基本的に低いので、C型になるという心配のほうがどうしても生じる。そして、経営成果の落ちこみが長くつづければ、経営の継続ができなくなってしまうのである。

3 経営力をつけることの大切さ
・無力型であれ、成行き型であれ、経営力の低さが経営上の最大のネックになっている。そこで、経営力をつけることにどうしても留意しなければならない。もっとも、経営力といっても、すでに述べたように経営姿勢と経営能力の主に2つの構成要素からなっているから、どれを補強すべきを冷静にチェックすることが求められる。
・たとえば、経営姿勢が比較的望ましい水準にあっても、経営能力が不足していれば、経営力は高まらず、カラまわりに終わってしまうかもしれない。逆に、そこそこ経営能力があっても意欲が低ければ、あたり前のことであるが、そのもっている能力は生かされないことになる。
永続的成長企業ネットワーク 理事
横浜市立大学名誉教授  斎藤毅憲

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  • 開催日2019年4月5日
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