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【誌上テーマ別サロン】第53回 <基礎講座>   スモール・ビジネスとして生き残るタイプとは? ―「中小企業経営学入門」(53)―

【誌上テーマ別サロン】第53回
<基礎講座>
スモール・ビジネスとして生き残るタイプとは?
―「中小企業経営学入門」(53)―

1 存続モデルにおける2つのタイプ
・私のつくった存続モデルのマトリックスによると、スモール・ビジネスとして生き残ることができるのは、いうまでもないが、経営力が高く、経営成果(アウトカム)もあがっている場合のA型である。そして、経営力は高いものの、経営成果は思ったほどでない場合のB型も生き残る可能性があるとみてよい。

2「継続(サクセス)型」への志向性
・生き残る可能性の高いA型とは、「継続(サクセス)型」といえるものであり、命名の理由は経営力もあり、それゆえに経営成果もあげており、企業として存続できることにある。経営力の裏づけのある、しっかりした経営活動を行っているので、生存だけでなく、それを越えた成長の可能性も期待できるであろう。そして、活動している事業分野(ドメイン)が成長業種であるとか、競争優位のある経営資源をもっているならば、成長の可能性はさらに確実になる。
・このようなA型のスモール・ビジネスの場合には、後継者に対する配慮も行われていることであろう。継続型には、いうまでもないが、次代へ、どのようにつないでいくかという考慮と実践が見られている。そして、これがなければ、継続型にならない。おそらく、経営力が低く、経営成果も低いC型の場合には、存続の心配があるために、経営に対する見通しは暗く、後継者の発見と育成という視点も欠落していると思われる。しかし、A型では後継者問題への対応が行われている。

3「健全型」への期待
・経営力は高いが、経営成果が思ったほどでない(B型)場合を「健全型」というのは、不自然と思われるかもしれない。経営力があるといっても、きびしい環境変化のなかで活動し、しかも経営資源が不足しているのがスモール・ビジネスの一般的な状況にあるだけに、思ったほどに成果を得られないといっても、ふしぎではない。むしろ、それは普通の状態であるかもしれない。
・経営力のある経営者がいなくなるようになれば別であるが、C型への移行はA型へのそれより少ないものと思われる。そして、経営力があるだけにA型への移行可能性は高いであろう。それはB型には、存続のための潜在力があり、これがみずから発現したり、外部のチャンスと結びついたりすると、高い経営成果になることを意味している。
・明確な成果がでていないのに、健全型ということには抵抗が確かにあろう。しかし、成果がでる可能性は、C型やD型とはちがって高いことに注意しなければならない。

永続的成長企業ネットワーク 理事
横浜市立大学名誉教授  斎藤毅憲

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  • 開催日2019年3月5日
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