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【誌上テーマ別サロン】第52回 <基礎講座>   スモール・ビジネスの存続モデル ―「中小企業経営学入門」(52)―

【誌上テーマ別サロン】第52回
<基礎講座>
スモール・ビジネスの存続モデル
―「中小企業経営学入門」(52)―

1 スモール・ビジネスの存続を考える
・スモール・ビジネスの存続は、きびしい環境のなかでむずかしく、経営の継続には困難がつきまとっているという。経営力をしっかり発揮して、それに対応して経営成果(売上高や利益などの獲得と成長としての存続)も獲得できている企業(A型)もあるが、この成果(アウトカム)が思ったように得られない企業もある(B型)。他方で、経営力が不足したり、未熟であるために、経営成果をあげられない企業も多い(C型)。このような企業はおそらく存続がきびしいものと思われる。しかし、経営力がなくても、そこそこの成果をあげているスモール・ビジネス(D型)も少数であるがあるかもしれない。もっとも、経営力がないので、今後も経営成果をあげる保証はなく、C型になるおそれがある。

2 経営力の意味
・経営力の意味をここではとりあえず以下のように考えてみよう。経営力は経営姿勢と経営能力からなり、前者の経営姿勢は経営者の経営に対する意欲、熱意、チャレンジ精神、活動力など、経営者のとる態度の総合したものである。いうまでもないが、ファイトあふれるエネルギッシュな経営者の姿勢は、目に見えるものであり、やる気の高さを感じさせる。
・後者の経営能力は、経営者個人のもつ経営能力や経営上の経験から得られたものであり、状況の把握力、判断力、人間関係力、交渉力など多様な能力要素の複合からなっている。
・このように、経営力とは経営姿勢と経営能力とした場合、つぎに考えなければならないのは、経営成果の獲得のためには、経営姿勢がまずもって必要になることである。経営に対する前向きな積極的な態度がなければ経営成果を得ることはむずかしいであろう。そのうえで経営能力も必要となる。
・経営能力があるならば、ない場合に比較して、経営成果の実現が容易になると考えられる。経営に対する意欲だけでは不十分であり、経営能力があいまって成果の実現につながると見るべきである。

3 存続(サバイバル)モデルにみるマトリックス
・さて、経営力が高い場合と低い場合、そして経営成果が高い場合と低い場合、を組みあわせると、以下のタイプが分類される。
① 経営力が高く、経営成果も高い場合 (A型)
② 経営力は高いが、経営成果は思ったほどでない場合 (B型)
③ 経営力が低く、経営成果も低い場合 (C型)
④ 経営力は低いが、経営成果はそこそこあがっている場合 (D型)
このように、スモール・ビジネスは、このモデルによると、4つのタイプに分けられる。

永続的成長企業ネットワーク 理事
横浜市立大学名誉教授  斎藤毅憲

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  • 開催日2019年2月5日
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