【誌上テーマ別サロン】第43回
<基礎講座>
人脈づくりを活かす経営を!
―「中小企業経営学入門」(43)―
1 社外の人脈づくり
・スモール・ビジネスの経営者やとくにスタート・アップ期の起業家にとっては、企業内部の良好なマネジメントづくりとともに、社外における多様な人脈づくり、つまりさまざまな人間関係の形成が不可欠である。そこで、多忙のなか、時間をさいていろいろな人間と交流したり、接触する機会や場に参加することが大切である。直接取引関係にある人間であったり、同じ業界関係者である場合もあるが、そのような利害関係を越えて、面識をもち、親交を結べる人間を増やすことが求められてきた。
・そして、この人脈づくりにおいては、“異業種交流”という言葉に示されるように、利害関係のない人びととの交流が意味があると考えられてきた。企業経営における新しいアイデアに関する情報は、同じ業界の人間ではなく、他の業界の人びととの話しあいや意見交換のなかから得られることが多いということである。
2 異業種交流による人脈づくり
・社外における人脈づくりは、このように異業種交流によってつくられることが多い。異質度がちがうほどに、刺激的な情報が入手できることになる。あまり異質度がないと、入手できる情報もおおむね容易に理解できたり、入手する前から知っていたりするケースもある。もっとも、異質度が高すぎると、理解できにくくなることも起りうる。
・その意味では適度の異質性が必要かもしれない。問題なのは、その情報をなにか新しいアイデアにつくりあげていくためには、現在、社内でもっているもの(スキルや知恵など)との組みあわせが求められるということである。入手できる情報がそのままのかたちで新しいアイデアとして利用されることは少なく、組みあわせが必要となる。
3 メンターの発見による人脈づくり
・もうひとつ大切なのは、信頼できる指導者や支援者を意味するメンターを見つけることである。両親や社内のスタッフにもメンターになりうる人間はいるが、社外に出ることで、自分を啓発してくれたり、サポートする人間と交流できることであろう。とくにスモール・ビジネスの経営者や起業したばかり人びとにとっては、メンターの存在はきわめて大きいといわれてきた。そして、社外に頼りになる人間がいることは、企業経営だけでなく、人生にとっても大切なものとなる。
永続的成長企業ネットワーク 理事
横浜市立大学名誉教授 斎藤毅憲
- 開催日2018年5月5日
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