サロン情報詳細


【誌上テーマ別サロン】第42回 <基礎講座>  無借金経営が理想のスモール・ビジネス ―「中小企業経営学入門」(42)―

【誌上テーマ別サロン】第42回
<基礎講座>
無借金経営が理想のスモール・ビジネス
―「中小企業経営学入門」(42)―

1 “お金”の重要性
・規模の大小にかかわらず、業種のいかんにかかわらず、人間の生活と同じように、企業の経営にお金という資本的資源は不可欠である。いうまでもないが、この資源なくして、企業は活動を行うことができない。1人企業で、他人の協力がなくてもビジネスをスタートさせられるが、お金はどうしても必要なのである。したがって、起業にとっては絶対に必要となる経営資源になる。
・しかし、起業後もお金は必要で、企業が生きつづける間、宿命的にそれを必要としている。したがって、お金の処理や取り扱いは企業経営の原点である。戦略や組織が大切であるとか、また研究開発が重要であり、そして情報システムも同じように重要であるというのは当然であるが、お金は企業のいずれの活動場面においても、きわめて悩ましい問題であり、企業経営の原点なのである。

2 調達の考え方
・なにか活動を企画すると、お金がかかる。たとえば、新しい設備や機械などを購入しようとし、余裕資金があるならば、それを利用すればことはすむ。しかし、余裕がなければ外部から借入れをしなければならない。とくに金融機関などからの借入れの場合、借入金の返済と利子の支払いという義務が生じる。
・もちろん、新しい設備や機械などの購入による投資自体がどのような経済的な収益をもたらすかを事前に十分検討しなければならない。この投資にもとづく収益は、そのなかからこの借入金や利子支払いに充当されるのである。そして、収益が期待したほどでない場合には当然、経営は危機をむかえることになる。しかし、借入れでなく、内部の余裕資金によるものであれば、返済などにあてられる義務がないため、経営的には前向きな姿勢と活動をとることができる。

3 無借金経営の実践を!
・したがって、借入れのない“無借金経営”がスモール・ビジネスにとっては理想の姿といえよう。お金をいかすためには、結局のところお金の借入れをしないことが鉄則となる。そして、たとえ借入れをどうしてもしなければならないときにも、自社の財務にとって無理のないかたちで行うことが肝要である。「お金はオッカネー」という思いをもつことが大切であり、借金しないことをごく普通のことにしなければならない。
・要するに、無借金経営はスモール・ビジネスにとって理想の姿であり、この鉄則を原点にして、経営を実践していくこと必要がある。当然のことであるが、お金を貸しだすようなことも避けなければならない。「お金はオッカネー」であることをもう一度述べておきたい。
永続的成長企業ネットワーク 理事
横浜市立大学名誉教授  斎藤毅憲

Information
  • 開催日2018年4月5日
  • 場所
  • 時間
  • 費用