サロン情報詳細


【誌上テーマ別サロン】第41回 <基礎講座>  スモール・ビジネスの地域貢献活動 ―「中小企業経営学入門」(41)―

【誌上テーマ別サロン】第41回
<基礎講座>
スモール・ビジネスの地域貢献活動
―「中小企業経営学入門」(41)―

1 本業関連の地域貢献活動
・地域企業ともいえるスモール・ビジネスが行っている地域貢献活動には、本業に直接関連しているものがある。地元の人間を採用して働いてもらうとすれば、ヒューマン・リソース(人的資源)は地域の人材であり、優秀な人材であれば企業としては大きなメリットをもつことになる。地元で生活しているので、いろいろな面で安定感があるといってよい。また、地域で原材料などを調達して、ものづくりを行い、商品化し、地元の消費者にセールスしているとすれば、まさに地産地消であり、調達(仕入れ)と販売の双方で地元活用が行われていることになる。これも前述のヒューマン・リソースと同じように、本業と関連した地域貢献活動といえる。

2 チャリティ的な活動
・大企業も含めて地域貢献活動といえば、チャリティ(慈善)的なものがごく一般的であった。地域で行われるイベント(祭り、フェスタ、会合などの集りなど)のために、金銭的なもの、物品などの寄付は、施設の開放や貸与、人的サービス・ノウハウの提供などを行われてきた。周辺の人びとがともに楽しむとか、なにか大変なことを遂行するときに、いつくしみを心をもって応じることが、チャリティ的な活動のコアになる。そして、スモール・ビジネスの経営者の多くはこの活動を行っている。

3 「安全」から「美化」へ
・地域に密着しているスモール・ビジネスの社会貢献活動には、防犯・防災といった地域住民の「安全」に関するものがみられる。防犯のために地域の商店街の若手経営者がパトロール活動を行っているケースが多い。自然災害による被害(停電、雪害など)への支援にあたっている企業もある。
・しかし、それだけでなく、地域の美化に貢献している。美化には、周辺地域のゴミの清掃を行うとか、植樹をすることで緑化活動を実施し、環境問題の解決に役立つもののほかに、もうひとつのものがある。それは、子育てや子どもの成長支援にかかわる人間の「心」の美化である。地元の学校に出前授業を行うとか、キャリア教育・職業教育のために企業見学やインターンシップを行っているスモール・ビジネスの経営者も多くなっている。また、一部では子どもたちに対応している教員の研修にもたずさわっている。
・そこで、安全を越えた美化の活動は、環境と人間の心の改善のふたつの側面をもっているのである。

永続的成長企業ネットワーク 理事
横浜市立大学名誉教授  斎藤毅憲

Information
  • 開催日2018年2月5日
  • 場所
  • 時間
  • 費用