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【誌上テーマ別サロン】第39回 <基礎講座>  仕事への思いが原動力のスモール・ビジネス ―「中小企業経営学入門」(39)―

【誌上テーマ別サロン】第39回
<基礎講座>
仕事への思いが原動力のスモール・ビジネス
―「中小企業経営学入門」(39)―

1 「仕事への思い」の大切さ
・仕事に対する思いがどのような職業においても大切である。自分がいま行っている仕事にどのくらいの思いをこめることができるかは、仕事の達成度や成果に直接かかわっている。よくいわれるように、やる気がなく、思いが低ければ、いい結果はでてこないであろう。そして、いい結果がでたとしても、その原因は本人の思いと努力ではなく、他人の力添えやちょっとしためぐりあわせなどの環境要因によっているといってよい。
・この仕事への強い思いは、仕事をスタートさせたときからこめられる場合もあるが、そうでないことも多い。スタート時に、それほど行いたいと思うような仕事でなかったが、仕事を学習し、遂行している過程のなかで、仕事に愛着を感じるようになり、徐々に思いが強くなったという話をよく聞くことがある。そして、長期にわたって同じ仕事をつづけてきた人のなかにも、仕事への思いを感じさせる人間が多い。

2 スモール・ビジネスの継続を支える「仕事への思い」
・スモール・ビジネスを長期にわたって継続(サクセス)させている経営者と面談して感じられるのは、この仕事への強い思いである。自分の行っている仕事については、いいも、悪いもすべて知ったうえで、思いをこめているのである。おそらくは悪いほうが多いのかもしれないが、強い思いが根底にはあり、それが企業あるいは事業としての継続性を支えていると考える。この強い思いがなくなったり、大幅に減ることになると、スモール・ビジネスの存続は明らかにむずかしくなる。

3 「ワーク・モティベーション」を越える意味とは?
・ワーク・モティベーション(仕事上の動機づけ)という言葉がある。この研究は人を仕事にかりたてる要因やメカニズムを解明するための言葉であるが、この思いもモティベーションをつくりあげている。仕事を習得し、遂行することで仕事への愛着がつくられ、仕事にかりたてられていくのであるから、この仕事への思いはモティベーションを考えるうえで意味がある。
・もっとも、仕事への思いは仕事に専念し、時間をかけてつくりあげられていくという特徴があることから、われわれ日本人がこだわってきた“道(ドウ)”に通じるものがあるように思われる。したがって、スモール・ビジネスの継続つまり持続可能性を支える「仕事への思い」の強さは道でもあるかもしれない。

永続的成長企業ネットワーク 理事
横浜市立大学名誉教授  斎藤毅憲

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  • 開催日2017年12月5日
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