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【誌上テーマ別サロン】第33回 <基礎講座>  スモール・ビジネスにおける後継者問題 ―「中小企業経営学入門」(33)―

【誌上テーマ別サロン】第33回
<基礎講座>
スモール・ビジネスにおける後継者問題
―「中小企業経営学入門」(33)―

1 後継者問題の本質とはなにか
・小さな企業における課題として、よく後継者問題がとりあげられる。この場合、後継者候補がいるか、いないかという問題と、たとえいたとしても適切な人材であるのか、ないのかという問題がある。そして、このふたつの問題には、後継者をどのように育成するのかという育成や教育に関する課題が存在している。
・結論的にいえば、候補者となるような人材は不在であるというのが多い。したがって、当然のことながら育成や教育までは考えが及んでいないことになる。しかし本当にさがしているのであろうかと思うことがある。自分がまだ元気で、現役でがんばれるので候補者さがしは不要と思っている経営者もいるが、別の理由でさがしていないのではないか。この別の理由こそが後継者問題の本質なのである。
・その理由とは、自分のビジネスの将来に対して、明るい展望をもつことができず、むしろ企業を継続させていくことに悲観的な見方をとってことである。前途多難であり、ビジネスをつづけるのはむずかしいと思っているスモール・ビジネスの経営者は積極的な経営を展開することができなくなっており、これにあわせて後継者を考える余裕も消失している。要するに、経営者の頭のなかには将来に対する期待や夢がしぼんでしまい、前向きになられなくなっているのである。これが後継者問題の本質である。

2 育成志向の重要性
・企業としての持続可能性、つまり生き残っていくことを大切にしようと思っているスモール・ビジネスは、持続可能性の実現のために、後継者をみつけだし、育成することを重視している。冒頭の後継者候補がいるか、いないかでいえば、いない、そしていたとして適切な人材であるのかといえば、いえないかもしれないが、なんとか見つけて育てていこうという考えが支配している。

3 息子以外の候補者も!
・スモール・ビジネスの後継者の候補といえば、オーナーの子ども男子(息子)や娘の夫と相場が決まっていた。今後も息子は最大の後継者のプールになっているが、女性(娘)でもいいし、他人でもいいのではないか。要は、企業として生き残りをはかる人材がもとめられている。

永続的成長企業ネットワーク 理事
横浜市立大学名誉教授  斎藤毅憲

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  • 開催日2017年6月5日
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