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【誌上テーマ別サロン】第25回 <基礎講座>  スモール・ビジネスは本当に“無名”か ―「中小企業経営学入門」(25)―

【誌上テーマ別サロン】第25回
<基礎講座>
スモール・ビジネスは本当に“無名”か
―「中小企業経営学入門」(25)―

1“無名性”のイメージ
・大企業とちがって、スモール・ビジネスは知られておらず、無名であえるという。大企業は名前だけでなく、行っている活動や事業領域(ドメイン)、販売している製品やサービスなどがステイクホールダー(利害関係集団)に知られており、知名度が高くなっている。
・学生の大企業志向は依然として強い。この大企業志向の理由のひとつに大規模で、よく知られているとか、有名であるという「知名度」があるといわれてきた。要するに、著名度が就職希望の理由になっている。会社の内情や経営については、あまり知らないが、社名がよく知られているので、就職を希望するという学生も少なくない。
・しかし、株式市場に上場している大企業はかなりあるが、そのうちのどのくらいの企業を知っているのであろうか。学生の知っているのは、メディアなどでとりあげられるごくわずかであり、上場企業といっても無名の企業が多いのではないかと思われる。そして、一般の大人にとっても株式投資でも行っていれば別だが、かなりの上場企業はやはり知名度が低い。

2 地域で知られるスモール・ビジネス
・スモール・ビジネスの知名度は低い。とくに全国的に知られているケースは著名な大企業とちがってほとんど皆無に近い。しかしながら、地域密着性を重視して、地域貢献を積極的に行っている企業は、その地域での著名度についてはきわめて高い。とくに社長が会社のシンボルであり“顔”になっているスモール・ビジネスは地域ではよく知られている存在なのである。そこで、決して無名とはいえない。
・地域には“老舗”といわれる企業が存在している。このような企業は全国的にみれば知られていないが、その地域では居住している人びとから愛され、信用されてきた企業なのである。

3 規模によって判定できない知名度
・このように考えてくると、企業規模が大きくなると知名度が高くなり、小さくなると低くなるという単純な議論はできなくなる。確かに、そのような傾向を否定できないともいえるが、知名度が企業規模によってのみ判定できないことも明らかである。小さくてもブランド商品をもっている企業は強く、そしてよく知られている。

永続的成長企業ネットワーク 理事
横浜市立大学名誉教授・放送大学客員教授
斎藤毅憲

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  • 開催日2016年10月5日
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