【誌上テーマ別サロン】第24回
<基礎講座>
スモール・ビジネスのマーケティング
―「中小企業経営学入門」(24)―
1 「顧客の支持」を得ることの大切さ
・スモール・ビジネスにとって、また起業のスタート・アップ時にとって大切なのは、なによりも顧客の支持を得ることである。これなくして経営ははじまらないのである。すばらしい売りもの(製品やサービス)があっても消費者やユーザーに購入してもらわないかぎり企業として苦しい状況に追いこまれることになる。
・しかし、つぎの局面ではコストを上まわる売上高をあげ、ある程度の利益を安定的に獲得できなければならない。常時、すでに述べた「とんとん」つまり採算をとるだけでなく、利益を生みだすような売上高を得る必要がある。その利益の額は企業としての生存とか継続を可能にするものでなければならず、ドラッカー(P.Drucker)流にいえば「存続可能利益」の獲得が前提になるということになろう。
2 存続可能利益の達成条件
・それでは、存続可能利益はどのようにしたら達成できるのであろうか。それは企業としての生存とか継続を保証できるのに必要な最低限の消費者やユーザーに実際に自社の売りものを購入してもらうことである。そして、この必要な最低限の消費者やユーザーの確実な獲得は、結局のところ長期的な取引関係の確立によって可能になると考えられる。この長期的な取引関係とは、かんけつにいえばリピーターの安定的な確保、生存とか継続を可能にするようなスケール(人数)の固定客づくりを行うことになる。
・要するに、生存とか継続を保証できるのに必要な最低限の消費者やユーザーを獲得できるかが存続可能利益の条件になる。もっともどのくらい人数が必要か、その前提としての存続可能利益はどのくらいになるのかは、それぞれの企業での検討が必要になる。
3 固定客づくり重視のマーケティングを!
・このように考えてくると、企業の存続を可能にするスケールの顧客を確保し、しかもそれを維持(リテイン)するマーケティングこそがスモール・ビジネスにもとめられる戦略になる。これに失敗すると、顧客は減少し、採算すれすれや採算割れを起こし、その経営は困難になっていく。どのようにしたら、そのようなマーケティングができるのであろうか。
永続的成長企業ネットワーク 理事
横浜市立大学名誉教授・放送大学客員教授
斎藤毅憲
[2016.9.5]
- 開催日2016年9月5日
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