【誌上テーマ別サロン】第16回
<基礎講座>
苦境をかてに生き抜くスモール・ビジネス
―「中小企業経営学入門」(16)
1 真剣勝負がビジネスの世界!
・ビジネスの世界は、いつでも、どこでも真剣勝負であり、まさに真剣を使って命をかけて挑むステージ(場面)である。そして、小さな企業でも大きな企業でも、それはいえることである。とくにスモール・ビジネスにはチャンスがあっても経営資源の面からみると、大企業のような余裕がないので、働く人びと一人一人に真剣な活動が求められている。
2 苦境をなんとかするという経営者の任務
・現在の企業は規模や業種にかかわらず、きびしい環境変化のなかにある。つまり、いわゆる「苦境」(苦しい環境)のもとにある。経営者の任務は、この苦境下にあっても、なんとかして、これをくぐりぬけ、企業を存続させていくことである。経営(マネジメント)の本質はまさにここにあり、英語の“サクシード(succeed)”こそ経営なのである。
・サクシードの名詞は、サクセス(success)であるが、その意味は成功ではなく、継続である。きびしいが、なんとかして続けていけること、それが経営の意味なのである。当然のことながら、継続のために、経営者は全力を尽くすとともに、知恵をだして苦境を乗りこえなければならない。
3 スモール・ビジネス経営の真骨頂
・環境のなかにチャンスがあっても、スモール・ビジネスがそれをうまく活用できないことがある。大きなマーケットがあるとすれば、それは大企業の競争の場となり、スモール・ビジネスにはなかなか参入することができない。きわめて技術力のあるイノベーティブなスモール・ビジネスは大企業よりも優位に立てる時代にもなっているが、きびしいことには変わりがない。また、経営資源の面では、すでに述べたように大企業のような余裕はない。
・しかし、それにもかかわらず、スモール・ビジネスが生存を可能にしているのは、経営者の力量である。多くの小規模企業が確かに経営を継続できないという現実がある。だが、すべてのものが倒産しているわけではない。経営(マネジメント)能力のあるスモール・ビジネスの経営者はきびしい環境のなかでもサクシードの力量を発揮している。そして、サクシード(継続させる)への努力と工夫のなかに、スモール・ビジネス経営の真骨頂がある。それは、またきわめてチャレンジングなことなのである。
永続的成長企業ネットワーク 理事
横浜市立大学名誉教授・放送大学客員教授
斎藤毅憲
- 開催日2015年1月5日
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