サロン情報詳細


【誌上テーマ別サロン】第121回 <基礎講座>   チャンスの時代の都市農業 ―「中小企業経営学入門」(121)―
【誌上テーマ別サロン】第121回
<基礎講座>
  チャンスの時代の都市農業
―「中小企業経営学入門」(121)―
1 新鮮野菜の直販
・私が住んでいる周辺のスーパーマーケットなどを見て歩くと、近くの農家がつくった新鮮野菜が店舗に陳列されている。配送(輸送)コストがかからないので、安くてもいいのだが、たんせいしてつくっているのであろうか、九州などの遠方からの「到来もの」よりも高い価格が設定されている。しかも、どう見ても新鮮そうなので、消費者の関心を集めてしまう。
2 「釜利谷トマト」の販売
・横浜市金沢区釜利谷の農家・鈴木勇次は、真っ赤のトマトづくりを行い、知る人ぞ知る「釜利谷トマト」を販売している。栄養や調理法なども学習して、消費者に情報提供して、人気を博している。
・40アール弱の畑には、年間を通じて40種の野菜をつくっているが、2棟10アールのハウスを「釜利谷トマト」専用にして、毎日収穫したトマトをその日のうち販売してしまう体制をとっている。
・農家として6代目であるが、父の大切にしていた人と人のつながりを重視した農業経営を展開している。そのために、「安全・安心な野菜づくり」を目ざし、土づくりや苗の仕入れ先の選定には、たえず留意している。要するに、同社は消費者志向に徹しようとしている。
3 内田達也の「サステナブル・アグリカルチャー・ファーム」
・「株式会社いかす」が運営する農場「サステナブル・アグリカルチャー・ファーム」を管理するのが、内田達也である。同ファームは、2019年5月に平塚市内で最初の「有機JAS」を取得している。
・自然農法国際研究開発センターなどで自然農法を学習した彼は、環境に対する負荷が少なく、長期にわたって生き残る農業づくりを目ざしている。約2.5ヘクタールの農場では年間を通じて50種類の有機野菜を育てている。
・同ファームがつくるカボチャは、えびす屋の「ほっこり133」である。これは甘みがあり、ホクホク感のある品種である。
・このカボチャの苗と同時に、「マルチ麦」を植えている。これを行うと、害虫の天敵となる小動物の活動が盛んになり、病気の予防ができるだけでなく、雑草がはえるのをおさえるという。そして、マルチ麦はカボチャよりも早く枯れるので、カボチャの栄養にもなっている。
・さらに、同ファームは定期的に「サステナブル・アグリカルチャー・スクール」を開催したり、平塚市の農業研修のうけ入れ農園になったりして、有機農業の普及や新しい農業の模索にも貢献している。
・このようにして、同ファームは消費者志向を重視しつつ、あわせて環境志向の農業づくりを目ざしている。
(2019.8.16稿)
永続的成長企業ネットワーク 理事
Information
  • 開催日2023年4月5日
  • 場所
  • 時間
  • 費用