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【誌上テーマ別サロン】第119回 <基礎講座>   「かかりつけ薬局」で生きる戦略 ―「中小企業経営学入門」(119)―
【誌上テーマ別サロン】第119回
<基礎講座>
  「かかりつけ薬局」で生きる戦略
―「中小企業経営学入門」(119)―
1 地域で生きる薬局の減少
・小規模な小売店の減少と同じように、地域で生きてきた薬局とか薬店などの店舗も衰退してきた。これに対して、全国展開を狙うようなドラック・ストアや調剤薬局は、発展を遂げ、店舗数を増加させてきた。また、特定の地域よりも比較的広域的な地域で多店舗展開をしているところもある。そして、病院やクリニック周辺への店舗立地も増加している。
そこで、地域で生きてきた小規模な薬局の経営は、きびしい環境のもとにあり、家族経営的な色彩も強く、後継者問題などの人材面でもネックをかかえている。
2 “かかりつけ薬局”の実践
・このようななかで小規模な薬局はこれまで以上に地域に密着した経営を行い、周辺の生活者にとって“頼りになる存在”になることがもとられている。病院やクリニック周辺の店舗は利用者が多く、待ち時間が長いので、なにか聞きたいことがあっても薬剤師とゆっくりコミュニケーションができる状況にはない。また、健康や病気のことは、すぐそばに他人がいると話づらいことも多い。
・その点では、小規模な薬局は客数は多くないので、来店者にていねいに対応し、コミュニケーションをとることができる。「お薬手帳」はそれなりに役立っているが、これとは別に「かかりつけノート」をつくり、これを使って、利用者とその家族の健康や病気の相談相手になることが大切である。
・「かかりつけ」という言葉は、病院やクリニックとの関係でよく使われてきた。かかりつけの医者がおり、そのような人に見てもらうことが長期的、継続的な健康維持のために大切であるということから、使用されてきたが、薬局についても同じような機能が期待されている。
・病院やクリニックの医師からの指示をうけて、薬品の提供サービスを行っているが、薬局も専門的職業のグループとして、単なる薬品の提供だけでなく、関連する情報をしっかり提供できることがもとめられている。それだけでなく、広範な医療、福祉機関などと連携をとりながら利用者の「健康」と「終活」にも対応できるコンサルティング機能を果たせることが大切である。
・医師からの指示による薬品の提供は、薬局の本業であるが、それだけに終わっているようでは「生き残り」さえむずかしい。その点を十分に認識しなければならない。
3 小規模店舗の生きる道の模索を!
・大規模化やネットワーク化などの展開のなかで、地域で生きる小規模薬局の経営はきびしい。これまでと同じことをやっていても、「生き残り」はむずかしい。利用者がもとめているもの、とくに健康を含む生活面で感じている不安・不満の解決にあたることで、生きる道が見つかるであろう。
(2019.8.5稿)
永続的成長企業ネットワーク 理事
横浜市立大学名誉教授  斎藤毅憲
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  • 開催日2023年2月5日
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