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【誌上テーマ別サロン】第113回 <基礎講座>   スモール・ビジネスにおける“ラッキーはコワイ” ―「中小企業経営学入門」(113)―
【誌上テーマ別サロン】第113回
<基礎講座>
  スモール・ビジネスにおける“ラッキーはコワイ”
―「中小企業経営学入門」(113)―
1 少ないラッキーな環境
・スモール・ビジネスにとってラッキー(幸運)な環境は、多くなく、むしろ少ない。ニッチな市場を見つけたとしても、それが本当に市場なり、売上高につながる保証はない。製品にみがきをかけるとともに、マーケティニングに努力しなければならない。そうでなければ、リターン(報酬)の獲得はおぼつかないであろう。
2 「適度なラッキーさが必要」
・幸運にもメディアなどに注目されるスモール・ビジネスがよくある。おいしいものをつくっているとか、これまでに見られなかったサービスを提供していることが話題になって、メディアにとりあげられて、顧客が大挙してしまったというのである。
・店頭には、思わぬほどの顧客であふれてしまい、対応にむずかしくなる。せっかく多くの顧客に来てもらったが、顧客を大幅に待たせてしまうとか、商品の提供ができなくなり、顧客を失望させてしまう。
・顧客の獲得がむずかしい時代なのに、ラッキーにも顧客があふれているが、企業規模がそれに対応できないのである。対応しようとすれば、スモール・ビジネスとしては、かなり無理な経営を行わなければならない。しかし、実際のところ、“好事は魔となり”無理な経営を行うことができなく、できても長期にわたってつづけることはとうていできない。
・したがって、スモール・ビジネスにとって、思わぬ過大なラッキーは“コワイ”ものである。そこで、「対応可能な適度なラッキーさが必要」となる。もっとも、この「適度のラッキーさ」をスモール・ビジネスの側でつくることはむずかしい。
・となれば、思わぬ過大なラッキーにめぐりあっても、冷静に対応していくことである。自社の供給できる1日の商品額などの情報を顧客に事前に提供しなければならない。そして、最低限、メディアなどに、これらの情報を与え、発信してもらう必要がある。
・このようなラッキーを経験することはほとんどないので、事前に対応を考えておくことでもない。要するに、そのようなチャンスにあったときに、自社の経営管理の現状と展望をよく勘案して、その場で冷静さをもって対応していくだけのことである。
3 ラッキー創造の基盤を!
・もっとも、矛盾することでもあるが、他方でラッキーが発生するような工夫や努力を行うことが大切である。前述の表現でいうと、おいしいものをつくるとか、これまでに見られなかったサービスを開発し、話題性をつくり、メディアに注目されるような経営をたえず展開することが大切である。
(2019.6.18稿)
永続的成長企業ネットワーク 理事
横浜市立大学名誉教授  斎藤毅憲
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  • 開催日2022年8月5日
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